2022/12/10
売り時?買い時?物価高そして円安と不動産
我が国の通貨、円の実力が低下していると言われています。
先月10月にはドルに対して147円まで円安が進み、大きな話題となったことはご存じの通りです。
円安は、円で海外のモノを購入するとドルなどに比べて割高になることを意味します。身近なところでは食品の値上げが相次ぎ、物価高が騒がれるようになりました。
食糧自給率が先進各国と比べて極めて低い日本においては、避けられないのが実情なんですね。
昭和40年代にはカロリーベースで73%もあった食糧自給率が、今や38%まで下がっています。
出典:農林水産省HP
今回は、こうした円の値動きと物価が不動産価格に及ぼす影響について、考えてみようと思います。
物価高と不動産
不動産はインフレに強いと言われています。
インフレとはインフレーションの略で、簡単に言えばモノの値段が上がり続ける状態のことです。1年前は10,000円で買えていたモノが12,000円、15,000円と上がっていくと、同じモノは10,000円では買えなくなってしまうことですから、インフレになると相対的に現金の価値は下がります。
当然、手持ちの現金の価値はどんどん目減りするので、そうならない資産に変えようと投資マネーは動きます。不動産の出番です。
確かにここ数年不動産の取引はとても活発で、特にマンションを投資先として購入する動きが急増しています。
出典:国土交通省HP
インフレで家賃も上昇すれば利回りも上がりますし、買ったときより高く売却できればキャピタルゲイン(売却益)も狙えます。
ただしこの計算は、インフレを吸収できるくらい私たちの所得が増えることが前提です。
つまり物価高に購買力が追いつかなければ思うように家賃は上昇しませんし、売却益も絵に描いた餅になる可能性があります。
景気が上向かない場面での物価高、インフレはちょっと困りものなのです。
円の値動きと不動産
コロナ禍は建築業界にも大きな影響を及ぼしました。在宅勤務の増加による住宅着工戸数急増に対応できなくなったのです。
2021年、北米の製材価格は過去最高を記録しました。またコンテナの海上輸送が2020年末から大混乱、製材品の輸入平均単価は産地価格と海上運賃の上昇を受け大幅に上昇しました。
日本は山国でありながら、木材や製材品の調達を安価な海外のモノに頼っているんですね。円安は調達コストをさらに押し上げる要因となるため、建築価格にどこまで転嫁できるか、建築業界は難しい局面を迎えると思われます。
ようやく農林水産省や林野庁も国産に力を入れ始めたものの、需要に追いつかず高値で推移しているのが現状です。
とはいえ海外の不動産に目を転じてみますと、日本の不動産は先進諸国の都市と比べて割安と考えられていて、とても魅力的なんですね。
しかもそこに円安が重なれば、海外の投資マネーが日本の不動産市場に入って来やすい環境になるといえます。
国土交通省が9月に発表した基準地価(都道府県地価調査)によると、全国平均が前年比0.3%のプラスとなり3年ぶりに上昇へ転じています。
実際、福岡市都心部の路線価(相続税・贈与税の算定基準)を見ても、5~6年前と比較すると2倍とまではいきませんが概ね1.6~7倍まで跳ね上がっていて、局所的には地価の上昇が続くのかもしれません。
金利と不動産
ここで気をつけたいのは金利です。
売りと買いのタイミングは金融情勢次第だからです。
長らく金融緩和で低金利を維持している日本ですが、今後日銀が利上げして金融引き締めに舵を切ると様相は変わります。
海外のみならず国内の投資マネーが向かう先は、主に成長力が高い都市部の物件です。円安と物価高、そこに利上げが重なるとなれば不動産の選別は一段と押し進むと思われ、地価が上昇がストップしても維持されるエリアと、ずるずる値下がりするエリアに分かれる傾向が今後もっと強まります。
つまり売り時か買い時かの判断は、まず不動産がどちらのエリアに所在するかによると考えています。
また付け加えるなら「最高値」や「底値」を目指すとタイミングを逸してしまいます。
「頭と尻尾はくれてやれ」という格言が示すのは、大きな損失を回避し利益を伸ばすための精神なのです。
最後に、脱!安い日本。がんばれ農林水産庁!メイド in JAPAN!!
我が国の通貨、円の実力が低下していると言われています。
先月10月にはドルに対して147円まで円安が進み、大きな話題となったことはご存じの通りです。
円安は、円で海外のモノを購入するとドルなどに比べて割高になることを意味します。身近なところでは食品の値上げが相次ぎ、物価高が騒がれるようになりました。
食糧自給率が先進各国と比べて極めて低い日本においては、避けられないのが実情なんですね。
昭和40年代にはカロリーベースで73%もあった食糧自給率が、今や38%まで下がっています。
出典:農林水産省HP
今回は、こうした円の値動きと物価が不動産価格に及ぼす影響について、考えてみようと思います。
物価高と不動産
不動産はインフレに強いと言われています。
インフレとはインフレーションの略で、簡単に言えばモノの値段が上がり続ける状態のことです。1年前は10,000円で買えていたモノが12,000円、15,000円と上がっていくと、同じモノは10,000円では買えなくなってしまうことですから、インフレになると相対的に現金の価値は下がります。
当然、手持ちの現金の価値はどんどん目減りするので、そうならない資産に変えようと投資マネーは動きます。不動産の出番です。
確かにここ数年不動産の取引はとても活発で、特にマンションを投資先として購入する動きが急増しています。
出典:国土交通省HP
インフレで家賃も上昇すれば利回りも上がりますし、買ったときより高く売却できればキャピタルゲイン(売却益)も狙えます。
ただしこの計算は、インフレを吸収できるくらい私たちの所得が増えることが前提です。
つまり物価高に購買力が追いつかなければ思うように家賃は上昇しませんし、売却益も絵に描いた餅になる可能性があります。
景気が上向かない場面での物価高、インフレはちょっと困りものなのです。
円の値動きと不動産
コロナ禍は建築業界にも大きな影響を及ぼしました。在宅勤務の増加による住宅着工戸数急増に対応できなくなったのです。
2021年、北米の製材価格は過去最高を記録しました。またコンテナの海上輸送が2020年末から大混乱、製材品の輸入平均単価は産地価格と海上運賃の上昇を受け大幅に上昇しました。
日本は山国でありながら、木材や製材品の調達を安価な海外のモノに頼っているんですね。円安は調達コストをさらに押し上げる要因となるため、建築価格にどこまで転嫁できるか、建築業界は難しい局面を迎えると思われます。
ようやく農林水産省や林野庁も国産に力を入れ始めたものの、需要に追いつかず高値で推移しているのが現状です。
とはいえ海外の不動産に目を転じてみますと、日本の不動産は先進諸国の都市と比べて割安と考えられていて、とても魅力的なんですね。
しかもそこに円安が重なれば、海外の投資マネーが日本の不動産市場に入って来やすい環境になるといえます。
国土交通省が9月に発表した基準地価(都道府県地価調査)によると、全国平均が前年比0.3%のプラスとなり3年ぶりに上昇へ転じています。
実際、福岡市都心部の路線価(相続税・贈与税の算定基準)を見ても、5~6年前と比較すると2倍とまではいきませんが概ね1.6~7倍まで跳ね上がっていて、局所的には地価の上昇が続くのかもしれません。
金利と不動産
ここで気をつけたいのは金利です。
売りと買いのタイミングは金融情勢次第だからです。
長らく金融緩和で低金利を維持している日本ですが、今後日銀が利上げして金融引き締めに舵を切ると様相は変わります。
海外のみならず国内の投資マネーが向かう先は、主に成長力が高い都市部の物件です。円安と物価高、そこに利上げが重なるとなれば不動産の選別は一段と押し進むと思われ、地価が上昇がストップしても維持されるエリアと、ずるずる値下がりするエリアに分かれる傾向が今後もっと強まります。
つまり売り時か買い時かの判断は、まず不動産がどちらのエリアに所在するかによると考えています。
また付け加えるなら「最高値」や「底値」を目指すとタイミングを逸してしまいます。
「頭と尻尾はくれてやれ」という格言が示すのは、大きな損失を回避し利益を伸ばすための精神なのです。
最後に、脱!安い日本。がんばれ農林水産庁!メイド in JAPAN!!
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