税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

この執筆者の過去のコラム一覧

2023/01/10

令和 5 年度税制改正大綱について

令和4年12月16日に令和5年度税制改正大綱が公表されました。
令和5年3月の国会で成立し、4月以降施行になる見込みです。

この大綱には多岐にわたる税目の税制改正の基本的考え方から具体的内容まで記してありますが、多くの項目の最後に「その他所要の措置を講ずる」との記載がありますので、具体的な詳細はこれから決まるのだと思われます。

また、必ずこの大綱通りに改正されるとも限りません。
あくまでも「12月16日時点での税制改正の方向性」といった捉え方が良いでしょう。

事前の報道で「NISA に改正が入るんだな」ですとか「防衛力強化で増税になるんだな」等々、耳にされた方も多かったと思いますが、その中でも気になる方が多いのは「相続税・贈与税に改正が入るようだ」ということではなかったでしょうか。

今回は、その点について触れたいと思います。

相続時精算課税における基礎控除創設

※令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税および贈与税について適用されます。

大綱に、「相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする」とあります。

現在の相続時精算課税の贈与は、2,500万円まで非課税で贈与し、相続時にすべての贈与財産を相続財産に足し戻して相続税を計算する制度で、現状 110万円の基礎控除はありませんでしたが、110 万円の基礎控除ができるうえ、相続税に足し戻す金額も、この 110万円を控除した後の残額です、ということです。
これにより、「相続時精算課税制度の使い勝手を良くし、生前にまとまった財産を贈与しにくかった人にとっても、次世代に資産を移転しやすくする」のが狙いです。

暦年課税における相続前贈与の加算期間等の見直し

※令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用されます。

大綱に、「相続又は贈与により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする」とあります。

つまり、贈与した人が亡くなった場合で、生前にその者がその相続人に財産を贈与していた場合には相続税に足し戻す期間が7年に延びた、そして、相続開始前4年から7年の間の贈与については、その合計額から100万円を控除して足し戻す、ということですね。

これは「資産移転の時期に対する中立性を高める」ことなどが狙いです。
どちらも「その他所要の整備を~」とありますので、詳細が待たれるところです。

これ以外にも様々な税目で、改正内容が示されています。
毎年この時期、この国の未来がどうなっていくのかに思いを馳せつつ読んでいます。
みなさんもいかがでしょうか。

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