(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2023/03/10

相続ロードマップをつくりましょう

ロードマップとは「道路地図」という意味と「目標達成までの道筋」という意味がありますが、今回のお話しは後者です。
相続でお子さん達をもめさせない、不幸にさせないための道筋をつけておかれませんか?

相続ロードマップをつくりましょう。

相続でもめさせない!その手始めは?

先日、プロサーチ株式会社(東京都千代田区)松尾企晴社長のお話を聴く機会がありました。家族信託を通じてご縁を頂くようになりましたが、不動産コンサルでは大変評価の高い企業です。
その松尾企晴社長が、顧客に「ご自分の資産の意識について」アンケートを行ったところ、次のような結果であったことを教えてくれました。


財産評価及び相続税額  ※プロサーチ㈱顧客向けアンケートの結果より引用
・現状の資産評価を正確に把握している…15%
・遺産分割について遺言を作成している…2%
・税理士は相続に詳しい…70%
・財産の状況問題点を把握している…5% 


いかがでしょうか。
ご自分の資産状況を正確に把握できていない人がいかに多いか一目瞭然です。
遺言を作成している方はわずか2%、だとすれば相続人の98%は話し合いで遺産分けをすることになるのです。

大丈夫でしょうか。

収益物件の財産評価は相続税評価額?

相続のかなめは、何といっても「相続が発生する前に財産の分け方を決めておく」ことに尽きます。
しかし財産を正確に把握していなければ、相続対策の実行についても正確な判断はできません。

相続税評価額は、相続税計算の基礎になる価額です。
相続税がどれくらいかかるか、把握できている方もいらっしゃると思います。
ただそれが収益物件の場合、その財産評価は相続税評価額ではなく収益性によります。
これが分け方を難しくする要因
なのです。
複数の収益物件をお持ちの場合、これは結構悩ましい問題です。

収益性のミカタとは?

稼働率が高いアパートや利回りの良い投資用マンションがある一方で、空室が目立つアパートや老朽化した貸家なども所有している、中には山林の処分に困っているというケースもよくある話です。
これ、相続ロードマップで事前に分け方を決めておかなければ、いざ相続人同士で話し合ってもまとまらない可能性が高いです。

まず、それぞれの不動産がどれぐらい稼ぎ出しているか、利回りだけでなく立地するエリアの将来性も考えながら判断できる財産一覧表を作成、見える化しましょう。
収益性のミカタ一覧表をつくるのです。

一覧表のなかには金融資産や生命保険金も含まれます。
つまりそれがご自身の現状の資産評価であり、相続が発生したときの相続財産一覧表になるのです。

ライフプランをかぶせてみれば?

もらう側はどうでしょう。
お子さんの世代は就職氷河期やリーマンショックなど景気低迷の影響を大きく受けていることもあり、将来の経済状況に漠然とした不安を抱いている方が本当に多いです。

相続する不動産の収益性に問題がある、多額の借金がある、また売却も難しいような不動産はもらいたくないと考えても仕方がありません。
駅近で相続税評価額は高いけど、築古物件で収益性が低く、相続税を払ったら生活に余力がなくなった、という深刻なケースも見てきました。

良かれと思って渡した不動産が、かえってお子さんに負担をかけることになるかもしれません。
ライフプランをかぶせてみれば、当初とまったく違う分け方になる可能性があるかもしれません。

後を託す家族の幸せなものがたり

相続対策は点で行う対策ではなく時間軸を持って実行していくことが決め手です。
つまり相続ロードマップは、お子さんだけでなくお孫さんの成長まで踏まえた家族のライフプランを中心にしたロードマップであることがとても大切だと思うのです。
それは後を託す家族の幸せなものがたりとなり、一番の財産になることでしょう。

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