蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

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2023/04/10

WBCに見る日本人の強さとは

今回はWBCが始まる前からこのことを是非皆様に伝えたいと思っていた。

私は普段あまり野球を見る機会はない。しかしながら、コロナ前は毎年のようにアメリカを訪問していたため、アメリカの雰囲気を感じることができる場所として大リーグの試合をアメリカに訪問する度にスタジアムに訪問し、観戦していた程度だ。

今回は現地に行くことも、もちろんなくリアルタイムで中継を見ることもなかなかできなかったのだが、なんだか試合が氣になって、スマホに試合の様子をテキストメッセージでほぼリアルタイムに送ってくれるサイトで様子を確認しながら応援していた。
優勝が決まった瞬間も中継を見ることはできていなかったが、その後のテレビ番組の特集はいつになく一生懸命拝見させて頂いた。

皆様はどんな状況で、どんな思いで応援されていただろうか?

チームプレーのスポーツの強さは日本人そのものの性質の現れ

野球以外にサッカーやラグビー、卓球のペア、そしてカーリングなどなど日本人のチームプレーが光るスポーツはたくさんあることを皆様は知っているだろう。
そしてその影にはそのチームプレーを最大パフォーマンスに導いている監督、コーチ、そしてあまり表には出て来なかったチームメイトの姿が必ずある。
また応援する側の日本人の姿勢も度々海外メディアに称賛の声を頂いていることも最近では皆様よく御存知のことだろう。

この日本人という国民の全体の強さはどこからやって来るのか?
いろいろ考えてみた。いろいろ思い付いたがひとつの結論の候補に行き着いた。
それは、見えない場所こそきちんとしようという日本人の精神ではないかと思うのだ。

スポーツと全く関係ないところにもその事例がある。

日本のものづくりの安全性、そして見えない部分の美しさ

日本のものづくりに関してこんな事例がある。

2000年代初頭から、アラブ首長国連邦のドバイ首長国に世界一長い無人運転の鉄道構想が計画(ドバイメトロ)され、その鉄道建設や安全システムについて国際入札が行われたと聞いている。現在ほぼ全線開通し、空港とダウンタウン含め主要観光地もつなぐ、世界一長い無人運転鉄道が実現している。

このドバイメトロ。実は、 日本の三菱重工が受注した。
受注まで紆余曲折、建設費の問題を始めいろいろあったのだが、ドバイの首長の心をつかんだのは車両の中で人目には触れない床下や屋根にまで美しさにこだわった、日本の車両にあったと言われている。
もちろん日本の鉄道の安全性や定時運航の素晴らしさもあったとは思うが。こういう部分に「明るい独裁国家」のドバイ首長が感動したのだと言われている。


ドバイを私は明るい独裁国家と呼んでいるのは、ドバイは国民の発展を第一に考えている首長が国民に背中を見せるために、自ら世界規模のビジネスをして見せて、それに国民がついて行っているイメージだからだ。その有名なビジネスのひとつが、エミレーツ航空だ。

それに対して、例えば私たちの隣国である独裁国家は暗い独裁国家だと思うのだ。

外国人がかなわない日本人MDRTの増加の本質

ドバイを鉄道建設初期の段階で何度も旅したことがある。
その時、ドバイ人がとても日本人をリスペクトして下さっているのを現地で感じることができた。

同じことが実は金融の世界でも起きていて、こちらにもひとつのエピソードがある。
全世界の金融業界と保険業界などの営業パーソンのうち、営業成績がトップ3%とも2%とも言われる、トップレベルの数字をあげている者だけが入会を許されているMDRT(ミリオン ダラー ラウンド テーブル)という世界組織がある。

アメリカで誕生した組織で、結成以来アメリカ人の会員数がダントツ世界一であったのが、年を経るごとに日本人の会員数が増加して来て、アメリカの会員数を脅かす存在になってきた。

2005年とか2006年とか辺りだったと記憶しているが、その入会基準になっている営業成績の数字を「日本人だけ引き上げる」という、我々から見たら事件が起こった。
日本の経済や金融コンサルタントの世界で、特に日本人がキメ細やかに見えない部分にまでおよぶ丁寧な相談業務を、外国にはかなわないレベルで進めてきた証ではないかと私は考えている。

このまま行くと、会員数トップの座を日本に空け渡すことになると危機感を持ったMDRTアメリカ本部が、意図的に日本人の基準を引き上げたのだと私は考えている。

「大谷」のような日本人でありたいという心持ち

今後少し心配していることがある。
WBCではそのトップの座を何度も日本に空け渡すことになった訳だし、他のスポーツでも日本人の活躍が世界で目立ち、それにより日本人に好意的な人が全世界に増えていることは紛れもない事実だろう。
こんな状況にさらになって行った時に、先ほど紹介したMDRTのような何かわからないが事件のようなことが起こらないとは限らないのではないかと思うのだ。

それを防ぐには、我々は今まで通りの他人を想う振る舞いをビジネス・文化・スポーツのどの世界でも行い、利他の精神を世界のお手本となるように持ち続け、世界中に日本人のファンをつくり、誰も文句を言えないような「大谷」のような人間に、国民皆がなるような心持ちでいるのがいいのではないかと私自身は思ったし、自身の振る舞いはそのようにして行きたいと考えさせられたWBCであった。

皆様はどうお考えになるだろうか?

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