2017/04/10
海外のインフレ率を意識した資産運用
ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。
総務省統計局が先月31日に発表した消費者物価指数(平成29年2月分)ですが、総合・生鮮食品を除く総合・生鮮食品及びエネルギーを除く総合の3項目のいずれもプラスになりました。
政府や日本銀行がターゲットとしている2%のラインには届いていませんが、昨年は下がった消費者物価が、再び上昇基調に戻りつつあります。
日本国内の労働力不足による賃金上昇の影響も出始めていますし、米国のトランプ大統領の巨額のインフラ投資の影響が今年後半あたりから出てくると思われますので、これから再びインフレが資産運用の大きなテーマになってくるかもしれませんね。
インフレに備えるために持つべき資産とは
政府や日本銀行が2%のインフレを目標にしているにもかかわらず、定額貯金(年0.01%)や個人向け国債(年0.05%)などに預けていては、物価上昇に追いつかず、資産の価値は年々下がっていってしまいます。
そこでインフレに備えるためにも、保有資産の中に物価上昇にも対応できる資産を一定割合組み込まなくてはいけません。
インフレに対応できる資産としては、下記に挙げるような資産があります。
【株式】
インフレにより商品の価格が上がると、企業の売上や利益が増えるため、株価の上昇が期待できる。
【商品(コモディティ)】
コモディティとは、商品先物取引所などで取引される商品のことです。
たとえば原油や天然ガスなどのエネルギーや、小麦・大豆・とうもろこしなどの主食になる穀物は、物価への影響が大きい資産の代表格です。
【物価連動国債】
物価動向に合わせて元本が代わる国債で、「インフレ連動国債」とも呼ばれます。
受取利子と償還額が物価変動に応じて動くため、インフレに対応できる金融商品です。
但し、物価が下がると利回りが低下するなどといった注意点もあります。
【高金利通貨】
金利水準の高い外貨に投資を行うことで物価上昇率以上の収益を獲得して、インフレに対抗する方法です。
ブラジルレアルやトルコリラなどの高金利通貨がターゲットになりますが、外貨投資は為替リスク・信用リスク・金利変動リスクなどを抱えることになるので注意も必要です。
【不動産】
賃料は物価と連動する傾向があるため、インフレによって不動産価値の上昇が期待できます。
但し、賃料には人口などの需給バランス等も影響するので要注意。
リスク過多にならないように注意を
上記に挙げたような資産はいずれも投資した元本が割れてしまうリスクがありますが、このような資産を保有資産に一定割合組み込むことで、インフレに備えることができるようになります。
「元本割れをしてしまうのが怖い」「価格変動を許容できない」などの理由で、預貯金や元本保証のある生命保険等ばかりに資産を置いていては、インフレには備えることはできません。
資産全体のリスクが過多にならないように注意をしながら、一定程度はこのようなリスク資産を保有しておきたいものです。
日本国内の物価だけではなく、海外の物価の動きを意識する
また、このようにインフレに備えるために資産配分を考える場合には、日本国内だけではなく、海外のインフレ率の推移も意識するようにしたいものです。
なぜなら日本は水以外の資源に乏しく、食糧の約6割、エネルギーに至っては9割以上を海外からの輸入に頼っているからです。
そのため海外で物価が上がってしまうと、日本はどうしてもその影響を受けやすいのです。
長くデフレの時代が続いた日本では、生活者の実感としてインフレを忘れてしまっている傾向も見られますが、世界的にはインフレが進んでいます。
今年1月にIMF(国際通貨基金)が発表した消費者物価の見通しでは、今年は先進国で1.7%、新興国で4.5%のプラスになると予測されています。
海外旅行によく出かける方は感じていると思いますが、海外はどんどん物価が上がっていて、むしろ日本国内のほうが物価が安いと感じる場面も増えてきましたよね。
これは日本国内では今のところ円高や企業の努力などによって物価は抑えられているためです。
しかし、長期的にみれば海外のインフレ率を意識して、その海外のインフレ率を上回るような運用成果を目指して資産配分を行っておくことが、大切な資産の実質的価値を守るという意味で重要になるのではないでしょうか。
ファイナンシャルプランナー(FP)の久保逸郎です。
総務省統計局が先月31日に発表した消費者物価指数(平成29年2月分)ですが、総合・生鮮食品を除く総合・生鮮食品及びエネルギーを除く総合の3項目のいずれもプラスになりました。
政府や日本銀行がターゲットとしている2%のラインには届いていませんが、昨年は下がった消費者物価が、再び上昇基調に戻りつつあります。
日本国内の労働力不足による賃金上昇の影響も出始めていますし、米国のトランプ大統領の巨額のインフラ投資の影響が今年後半あたりから出てくると思われますので、これから再びインフレが資産運用の大きなテーマになってくるかもしれませんね。
インフレに備えるために持つべき資産とは
政府や日本銀行が2%のインフレを目標にしているにもかかわらず、定額貯金(年0.01%)や個人向け国債(年0.05%)などに預けていては、物価上昇に追いつかず、資産の価値は年々下がっていってしまいます。
そこでインフレに備えるためにも、保有資産の中に物価上昇にも対応できる資産を一定割合組み込まなくてはいけません。
インフレに対応できる資産としては、下記に挙げるような資産があります。
【株式】
インフレにより商品の価格が上がると、企業の売上や利益が増えるため、株価の上昇が期待できる。
【商品(コモディティ)】
コモディティとは、商品先物取引所などで取引される商品のことです。
たとえば原油や天然ガスなどのエネルギーや、小麦・大豆・とうもろこしなどの主食になる穀物は、物価への影響が大きい資産の代表格です。
【物価連動国債】
物価動向に合わせて元本が代わる国債で、「インフレ連動国債」とも呼ばれます。
受取利子と償還額が物価変動に応じて動くため、インフレに対応できる金融商品です。
但し、物価が下がると利回りが低下するなどといった注意点もあります。
【高金利通貨】
金利水準の高い外貨に投資を行うことで物価上昇率以上の収益を獲得して、インフレに対抗する方法です。
ブラジルレアルやトルコリラなどの高金利通貨がターゲットになりますが、外貨投資は為替リスク・信用リスク・金利変動リスクなどを抱えることになるので注意も必要です。
【不動産】
賃料は物価と連動する傾向があるため、インフレによって不動産価値の上昇が期待できます。
但し、賃料には人口などの需給バランス等も影響するので要注意。
リスク過多にならないように注意を
上記に挙げたような資産はいずれも投資した元本が割れてしまうリスクがありますが、このような資産を保有資産に一定割合組み込むことで、インフレに備えることができるようになります。
「元本割れをしてしまうのが怖い」「価格変動を許容できない」などの理由で、預貯金や元本保証のある生命保険等ばかりに資産を置いていては、インフレには備えることはできません。
資産全体のリスクが過多にならないように注意をしながら、一定程度はこのようなリスク資産を保有しておきたいものです。
日本国内の物価だけではなく、海外の物価の動きを意識する
また、このようにインフレに備えるために資産配分を考える場合には、日本国内だけではなく、海外のインフレ率の推移も意識するようにしたいものです。
なぜなら日本は水以外の資源に乏しく、食糧の約6割、エネルギーに至っては9割以上を海外からの輸入に頼っているからです。
そのため海外で物価が上がってしまうと、日本はどうしてもその影響を受けやすいのです。
長くデフレの時代が続いた日本では、生活者の実感としてインフレを忘れてしまっている傾向も見られますが、世界的にはインフレが進んでいます。
今年1月にIMF(国際通貨基金)が発表した消費者物価の見通しでは、今年は先進国で1.7%、新興国で4.5%のプラスになると予測されています。
海外旅行によく出かける方は感じていると思いますが、海外はどんどん物価が上がっていて、むしろ日本国内のほうが物価が安いと感じる場面も増えてきましたよね。
これは日本国内では今のところ円高や企業の努力などによって物価は抑えられているためです。
しかし、長期的にみれば海外のインフレ率を意識して、その海外のインフレ率を上回るような運用成果を目指して資産配分を行っておくことが、大切な資産の実質的価値を守るという意味で重要になるのではないでしょうか。
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