(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2024/06/10

「激増」固定資産税!インフレに備えるには

不動産を所有していると納めなければならない税金、それは固定資産税です。毎年4月を過ぎると市町村役場から納税通知書が届きますから、とても身近な税金の1つです。

この税額を算定する基礎となる不動産価格は、3年に1度見直されています。
見直すことを「評価替え」といいますが、令和6年度はまさに評価替えの年に当たります。
納税通知書をご覧頂き、新しい税額をしっかり確認しておきたいところです。

上昇続く福岡の地価

物価が上がり始め社会保険料なども上がる今、デフレ脱却が近づいているとの声が聞こえ始めました。
今年3月に発表された公示地価の全国平均は3年連続で上昇、昨年はプラス1.6%、今年はプラス2.3%と上昇幅も拡大です。
なかでも福岡市は商業地の平均上昇率が全国4年連続のトップ、住宅地は首位で初の二冠に輝きました。
この動きは福岡市近郊にも波及していて、当然、固定資産税も激増していると思います。

続く7月に発表される路線価(相続税や贈与税の算定基礎となる価格で国税庁が発表)にもぜひ注目して下さい。
これまでも6~7年前と比較すると2倍近くと激増?いえ「爆増」していて、今年も上昇必須と思われるからです。

固定資産税評価額への不服申し立て

さて本当に悩ましいところですが、「土地の評価額が高すぎる」というときは、固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます。
崖地や高い擁壁、高低差、不整形地など減価要因が大きい土地は、全国各地で実際に固定資産税評価額でも買い手が付かないケースがあるのです。
不動産鑑定士による鑑定評価書
があればより確かと思われますが、鑑定料が相応にかかります。ただ、鑑定評価は裁判で使われるほど証明力が高い評価です。

また、税理士に相続税評価額を算定してもらう方法もあります。土地の場合、地型によって様々な減額が認められています。
固定資産税評価額との乖離から「高すぎる」との判断が可能かも知れません。
「相続税がかかりそうか、かかるとしたらいくらぐらいか」あらかじめ算定しておけば、現時点での財産目録作成もできます。
いざというときに相続人に苦労をかけずにすみますし、計画的な準備を税理士と相談しておくことは何よりも安心につながりますね。
こちらも費用はかかりますが、相続税申告の時にその分を差し引いてくれることが一般的です。

自分の不動産を熟知して、何が問題になりそうかを知る

インフレに備えるには、まずご自身が所有する不動産について熟知しておくことは最重要と考えます
境界確定測量はお済みですか?
抵当権の抹消は?
相続登記ひとつに2年かかったこともありました。

こんな話もあります。売却しようとしたら、所有者である親が倒れて認知症になり財産は凍結。「家族信託をしておけばよかった」というケースです。
5人にひとりは認知症という時代です。
かつて相続対策は「分けかた」と「相続税対策」といわれていましたが、今や認知症対策は必須となりました。
不動産を熟知して、その上で何が問題になりそうかを知り、解決しておくことはインフレ対策のはじめの一歩です。

そもそも不動産はインフレに強い

インフレとは、お金の価値が下がることです。現金は不利になるので、預貯金を多く所有しているかたは注意が必要です。
一方で「現物」となる不動産は、モノそのものに価値があります。
そのため不動産の価値は下がりにくく、また家賃収入も得られるため保有中も収益が上がります。
さらに、インフレ下では家賃は緩やかに上昇しますから、不動産投資の効果は大きいと言えます。
そのためにもご自身が所有する不動産を知ることは、価値の再評価にもつながります。

目的を明確に

九州大学箱崎キャンパス跡地の利用計画前進により、東区全体の不動産価値向上が見込まれています。
様々な営業や勧誘を受けることも多いと思われますが、ただひとつ。
不動産投資において何よりも大切なことは目的です。
「なぜこの投資を行うのか」。
インフレ対策と安易に始めるのではなく、目的をじっくり考え明確にした上でプランニングしましょう。
借り入れ金利の上昇など、不動産投資はリスクを伴います。
目的に合った決断こそが、リスク管理を可能とするのです。

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