税理士

あんしん税理士法人

鹿田 幸子

福岡県出身。大学卒業後、大阪の会計事務所にて勤務。帰福後は、福岡の大手会計事務所に勤務し、幅広い業務に携わる。2007年税理士登録。2013年 12月安藤税理士事務所入所。2016年12月法人成(あんしん税理士法人)。社員税理士となる。かかりつけ医のような税理士を目指し日々研鑽中。
資格:税理士

この執筆者の過去のコラム一覧

2024/07/10

令和6年分の所得税の予定納税について

前回概要をお伝えした、令和6年の税制改正の一つである「定額減税」ですが、給与所得者の方には6月1日以降に支給される給与賞与から実施されています。
その直前に「減税額を給与明細に必ず載せる事!」という発表がなされ、給与計算の現場に動揺が走った事も、いつもと違う給与計算や給与明細に現場が随分混乱した事も記憶に新しいです。

そして、6月中旬には、令和5年分の確定申告の結果を踏まえた「所得税等の予定納税額の通知書」が届いた方も多いと思います。
この、所得税等の予定納税をする必要がある方については定額減税(予定納税特別控除額といいます)が考慮された金額となっています。

予定納税制度の概要

(1)予定納税とは

原則として、令和5年分の所得税等の申告納税額が15万円以上となる方について、納税者側の観点で「確定申告時に1回で納付する負担感を緩和する」ために、国側の観点では「国の収入を平準化する」のために、令和6年分の税額の一部を前もって納付する制度です。
最終的には確定申告の際に精算されるので「払い過ぎ」や「払い足りない」などで終わることはありませんのでご安心ください。

(2)予定納税額

予定納税額は、令和5年の申告納税額の3分の1の金額を、第1期分・第2期分として2回に分けて納付します。

前回の記事で触れましたように、今年に限り、この第1期分の予定納税額から予定納税特別控除額(本人分3万円)が差し引かれています。この段階では、同一生計配偶者の方や扶養親族の方の予定納税特別控除額は引かれていません。
最終的に確定申告できちんと特別控除額が計算されますが、もしも「第1期分の予定納税額から引いてほしい」という場合には「予定納税額の減額申請」という特別な手続きが必要となります。

(3)予定納税額の納付

①振替納税の場合(口座引落)

・第1期分は令和6年9月30日
・第2期分は令和6年12月2日
に、本人が前もって指定していた金融機関の預金口座から自動的に引き落とされます。
通常であれば第1期分の引き落とし日は7月31日ですが、特別控除の影響でしょう、今年は随分遅い引き落とし日となっています。
前日までに必ず預金口座の残高を確認された方が良いです。

②振替納税ではない場合

・第1期分は令和6年7月1日から9月30日まで
・第2期分は令和6年11月1日から12月2日まで
の期間内に、税務署から送られてきた納付書で金融機関や税務署で納付していただきます。

ちなみに、クレジットカードなどの「納付書を使用しない方法での納付」を行っている方には納付書は送られてきません。
第1期の納付期限が例年に比べて先の方なので「まだ大丈夫と思っていたら期限を過ぎていた」という事にならないよう、なるべく早く納付されるのがお勧めです。

雑感

確定申告が終わったあたりから、お客様へ徐々にお伝えしてきた定額減税ですが、給与計算ソフトが対応するのは概ね5月中旬、所得税の予定納税額の通知書が届くのは6月中旬、ということで、それぞれの方が実際に定額減税の計算に実感を持って対応したのは実施直前でした。

特に、給与計算に携わっている方々は「給与明細に本当に反映されているかわからない」ですとか「扶養親族とは?扶養控除の対象者となぜ違うの?」ですとか、かなり混乱がありました。
そのせいか嬉しいはずの減税が「なぜ給付では?」という声にかき消される場面が多かったのが残念でした。

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