2024/09/10
どうみる?!上昇続く建設工事費
建設工事費の上昇が止まりません。
様々な物の値段が値上がり傾向にありますが、なかでも建設関係の費用は爆上がりの状態です。相続対策のために建てたい、または老朽化でによる建て替えをお考えのオーナー様にとっては実に悩ましい事態です。
データから読み解く工事費上昇の推移
国土交通省が「公共工事設計労務単価」と「建設工事費デフレーター」というデータを毎年発表していますので、見てみましょう。
国交省データより作成
公共工事設計労務単価とは国が公共工事の積算に用いる労務単価、いわゆる労務費のことです。棒グラフが示すように上昇が続いていますが、具体的には前年比5.9%増で12年連続の引き上げ、2013年との比較でみると64%の上昇となっています。
これは建築現場に関わる職人さんや、現場管理の方々の人手不足が深刻さを増していることを示しています。
円安の影響を受けやすい資材価格
折れ線グラフの方は建設工事費デフレーターの推移です。
これは建設工事に係る「名目工事費額」を基準年度の「実質額」に変換する指標で、建設工事にかかる費用の相場を示しています。
国交省データより作成
これ、一旦新型コロナウィルスで一段落したかと思いきや2021年から再び上昇していますね。つまり労務費のみならず資材価格の方もじわじわと上がり続けていることが見て取れます。
要因の1つは円安の影響といわれています。
日本は建設資材の多くを輸入に頼っていて、円安になると価格が上昇します。今現在ドル円の為替相場は143円(9/6付)ですが、2021年初は103円でしたから約1.4倍に上がっているのです。
なお、(一社)建設物価調査会より8/9に集合住宅(RC造)の建設物価建築費指数が発表されていますので、こちらもご参考いただければと思います。
(一社)建設物価調査会HPより
上昇傾向の家賃相場
ただどうでしょう。
福岡市の家賃相場といえば年々上がっている状況です。
振り返れば1980年代、バブルの頃は土地の価格が右肩上がりで上昇し続けていたのに比べ、家賃相場はそれほど上昇していませんでした。
土地の価格の鑑定手法の1つである「収益還元法」は、簡単に言えば対象物件が生み出す家賃から価格を求める手法ですが、当時は連動していなかったのです。
何が言いたいかというと、土地の価格も上昇し、家賃も上昇している今の不動産市況は、実態を伴うものでバブル期の地価高騰とは構造が異なるということです。
アットホームHPより
この状況で気をつけたいのは、全てのエリアで土地も家賃も上昇しているわけではない点です。
話を建設工事費に戻しますと、工事費が高くなってもそれに見合う収益が見込めるかどうかが今後も重要であることに違いありません。
値上がり受け入れ可能な社会に
建設業には5年猶予されていた働き方改革ですが、今年4月から適用されるようになりました。つまり残業が抑制され、職人さんを増やすなり工期を延ばすなりで工事費の上昇は続くと思われます。
人手不足を理由に安い労働力である外国人の受け入れもいたし方ないのかも知れませんが、中長期的には建設に関わる日本人の賃金相場が上がり、経済が良くなり家賃相場上昇を受け入れ可能なエンドユーザーが増えて、社会全体が豊かになる方がいいと思っています。
建設工事費の上昇が止まりません。
様々な物の値段が値上がり傾向にありますが、なかでも建設関係の費用は爆上がりの状態です。相続対策のために建てたい、または老朽化でによる建て替えをお考えのオーナー様にとっては実に悩ましい事態です。
データから読み解く工事費上昇の推移
国土交通省が「公共工事設計労務単価」と「建設工事費デフレーター」というデータを毎年発表していますので、見てみましょう。
国交省データより作成
公共工事設計労務単価とは国が公共工事の積算に用いる労務単価、いわゆる労務費のことです。棒グラフが示すように上昇が続いていますが、具体的には前年比5.9%増で12年連続の引き上げ、2013年との比較でみると64%の上昇となっています。
これは建築現場に関わる職人さんや、現場管理の方々の人手不足が深刻さを増していることを示しています。
円安の影響を受けやすい資材価格
折れ線グラフの方は建設工事費デフレーターの推移です。
これは建設工事に係る「名目工事費額」を基準年度の「実質額」に変換する指標で、建設工事にかかる費用の相場を示しています。
国交省データより作成
これ、一旦新型コロナウィルスで一段落したかと思いきや2021年から再び上昇していますね。つまり労務費のみならず資材価格の方もじわじわと上がり続けていることが見て取れます。
要因の1つは円安の影響といわれています。
日本は建設資材の多くを輸入に頼っていて、円安になると価格が上昇します。今現在ドル円の為替相場は143円(9/6付)ですが、2021年初は103円でしたから約1.4倍に上がっているのです。
なお、(一社)建設物価調査会より8/9に集合住宅(RC造)の建設物価建築費指数が発表されていますので、こちらもご参考いただければと思います。
(一社)建設物価調査会HPより
上昇傾向の家賃相場
ただどうでしょう。
福岡市の家賃相場といえば年々上がっている状況です。
振り返れば1980年代、バブルの頃は土地の価格が右肩上がりで上昇し続けていたのに比べ、家賃相場はそれほど上昇していませんでした。
土地の価格の鑑定手法の1つである「収益還元法」は、簡単に言えば対象物件が生み出す家賃から価格を求める手法ですが、当時は連動していなかったのです。
何が言いたいかというと、土地の価格も上昇し、家賃も上昇している今の不動産市況は、実態を伴うものでバブル期の地価高騰とは構造が異なるということです。
アットホームHPより
この状況で気をつけたいのは、全てのエリアで土地も家賃も上昇しているわけではない点です。
話を建設工事費に戻しますと、工事費が高くなってもそれに見合う収益が見込めるかどうかが今後も重要であることに違いありません。
値上がり受け入れ可能な社会に
建設業には5年猶予されていた働き方改革ですが、今年4月から適用されるようになりました。つまり残業が抑制され、職人さんを増やすなり工期を延ばすなりで工事費の上昇は続くと思われます。
人手不足を理由に安い労働力である外国人の受け入れもいたし方ないのかも知れませんが、中長期的には建設に関わる日本人の賃金相場が上がり、経済が良くなり家賃相場上昇を受け入れ可能なエンドユーザーが増えて、社会全体が豊かになる方がいいと思っています。
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