蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

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2024/10/10

古事記に隠された歴史の真実

今回は、古事記とは単なる神話ではないということを皆様にお話をしてゆきたいと思う。

出雲大社において献香式を催行

9月、私達は出雲大社を訪れ出雲大社の北島国造家(いわゆる宮司家、出雲では宮司のことを国造とお呼びする)と面会させて頂くという貴重な時間を頂いた。

よく出雲大社と伊勢神宮は古事記にも描かれているように、敵対関係であると言われたりしていることは皆様もご存知であろう。
私は藤原五摂家(藤原道長の直系の子孫と言える家)の一つである二條家に香道の弟子として入門しているのだが、毎年二條家は出雲大社の北島国造家に献香式(香道で使用する希少なお香を献上し、ご挨拶に伺うまつりごと)を催行している。

特に、今年はお客様50人にも公開の儀式とし東京、名古屋、京都、大阪など各地からツアーを組み例年にないほど多くのお客様にお越しいただいた。

出雲と伊勢は敵対関係にあるのか?

古事記には天孫降臨という記述があり、アマテラスオオミカミを中心とする天上界が出雲のオオクニヌシを中心とする地上界を戦わずして説得し、出雲は国を譲ることになったと記されている。
例えば「教育の拠り所策定委員会」企画・発行の「幸せの国の幸せの子どもの話」では、子どもに易しく古事記を解説しているが、天孫降臨の場面を次のように描いている。

幸せの相談水穂の国 日本は大変豊かになりました。
でも荒々しい神々が争いを、欲張りな神々が奪い合いをして一向に鎮まりません。
幾人もの神様が、大国主様と話し合い、終に大国主様は決心しました。

私は根の国に行き、この水穂の国は、天照様にお譲りします。
私の代わりに良く治めてください。
(抜粋)

と記されている。

実際の出雲大社と伊勢神宮の関係

古事記では戦わずして話し合いで国を譲ったと記されている天孫降臨だが、史実は大和朝廷が出雲の豪族を大戦争の末打ち負かしている。

今回のツアー中、北島国造様との面会で出雲と伊勢の交流について失礼は承知で尋ねてみた。
巷ではそのように思われているようだが、そういう事実は少なくとも現在は無く、無いどころか出雲の国造家から伊勢神宮に研修に行ったりしているくらい交流もあるそうで、関係が悪いことはなさそうである。

その他にも出雲と伊勢の交流を感じさせるものはたくさんある。
伊勢神宮の中には摂社としてちゃんと出雲大社があるし、出雲大社の中にはちゃんと伊勢神宮がある。代々出雲大社の国造家(宮司家)である北島家と千家家は伊勢をルーツにしている家と言われているし、皇室からお嫁さんを迎える家でもある。

伊勢神宮の参道にあるおかげ横丁は出雲の方々がかなり作ったようでもある。
面白いのが伊勢周辺では出雲の食文化に似ているものがたくさんあるし、特に甘いことで有名な伊勢の醤油は出雲の醤油とそっくりである。


古事記をはじめとする古い日本の書物は戦争に勝った側が自分達の正当性を主張し美化されて書かれていたり、歴史が捏造されている場合もある。
そんな事実が隠されているかもしれないということも考慮しながら、日本のことを學んだり歴史のその場所を訪れたりしてみるのも楽しいかもしれない。

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