2024/11/10
FRB利下げ開始後に魅力的な資産クラスは何か?
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17日~18日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%と、通常(0.25%)よりも大きい利下げを行うことを決めました。
今回大きな利下げ幅となった理由として、早めに利下げを行うことで労働市場の悪化を防ぎ、また、足元は堅調に見えるものの、各所に変調の兆しが見え始めている米国経済を維持していくことが目的だと思われます。
過去のFRB利下げ開始後の株式市場のパフォーマンス
それでは過去FRBが利下げを行った後の米国株式市場のパフォーマンスはどうだったのでしょうか?2001年のITバブル崩壊、リーマン・ショックを引き起こす原因になった2007年の住宅バブル崩壊の2回以外は、利下げを好感して株式市場は上昇しました。
株式市場は先行指標と言われており、実際の景気よりも先に動くという特徴があるため、利下げによる企業業績の向上を見込んで投資家が買いを入れるためだと思われます。
業種別に見ていくと、利下げ開始後の情報技術セクターのボラティリティ(価格変動)の大きさが目立ちます。
1998年9月のLTCM破綻(アジア通貨危機の結果起きた市場の大変動を吸収しきれず、ヘッジファンド大手のロングターム・キャピタル・マネジメントが破綻)の時期は大きな上昇が起きましたが、この時期は家庭にインターネットが普及を始めた時期でもあり、例外と考えたほうがいいかもしれません。
一方、ITバブル崩壊、リーマン・ショック時の情報技術セクターは大きく下げました。足元の生成AI・半導体関連企業への人気集中でバリュエーション(投資価値評価)が相当高くなっていることを踏まえれば、これから情報技術セクターに集中投資を行うのは少々博打のような気がします。
また、素材やエネルギーセクターの強さが目立ちますし、生活必需品や公益といったディフェンシブセクターはやはり景気が悪くなる局面においても安定したパフォーマンスを発揮しています。
〈米国株式市場の業種別パフォーマンス〉 2024年1月~9月
今年に入ってからの米国株式市場(S&P500)の業種別パフォーマンスを見ても、最も高いリターンとなっているのは公益セクター(S&P500 Utilities)であり、やはり公益セクターの景気悪化局面での強さが表れていますね。
株式市場以外にも注目が
株式市場以外でどのような資産がFRBの利下げ開始後に強かったのかというと、まず挙げられるのは債券のパフォーマンスが良いこと。
利下げは通常長期金利の低下を招きますので、債券価格の上昇に繋がります。とくに信用力が高い米国国債や米国投資適格社債(BBB以上の格付けを持つ社債)が強みを発揮する局面です。
但し、これは米ドル・ベースの話しで、私達日本人が投資を行う場合には注意が必要。
それは米国の景気が悪化して金利が下がると、為替が円高方向に振れる可能性が高いためです。為替ヘッジの活用を含めて、円高への対応策を考える必要があるでしょう。
投資家から集めた資金に、銀行からの借り入れを加えて不動産に投資を行うREIT(リート、不動産投資信託)にとっても利下げは追い風になります。
しかし、先に述べた債券同様に、利下げ局面で日本人が米国REITに投資を行うと為替差損を被る可能性が高いと思われるため、為替ヘッジ付きのファンドを活用も検討してもいいのではないでしょうか?
また、通常は金利が下がると金(GOLD)の価格が上昇するため、金への投資も利下げ局面では有効な手段です。金への投資手段として投資信託を活用すればNISA(成長投資枠)を活用することも可能です。
近年は円安圧力が強かったため、為替ヘッジが付いていないゴールド・ファンドのほうが人気でしたが、今後は為替ヘッジ付きのゴールド・ファンドのほうが見直されるように思います。
新興国は株価上昇に加えて、為替差益を狙える局面
米国の金利が下がってくると、相対的に金利水準が高い新興国のほうに資金が流れやすくなります。
そのためFRBの利下げは新興国にとっては追い風。
為替においては米ドル安/新興国通貨高の方向感で動く可能性が高いと考えられます。
その資金の中には当然株式に向かう資金が含まれるため、新興国株式市場にとってはフォローになるでしょう。
過去FRBが利下げ開始した後に新興国の株式市場は堅調に推移しました。
そのため新興国株式市場は株価の上昇に加えて、為替差益を期待できる局面だと思われます。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17日~18日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%と、通常(0.25%)よりも大きい利下げを行うことを決めました。
今回大きな利下げ幅となった理由として、早めに利下げを行うことで労働市場の悪化を防ぎ、また、足元は堅調に見えるものの、各所に変調の兆しが見え始めている米国経済を維持していくことが目的だと思われます。
過去のFRB利下げ開始後の株式市場のパフォーマンス
それでは過去FRBが利下げを行った後の米国株式市場のパフォーマンスはどうだったのでしょうか?2001年のITバブル崩壊、リーマン・ショックを引き起こす原因になった2007年の住宅バブル崩壊の2回以外は、利下げを好感して株式市場は上昇しました。
株式市場は先行指標と言われており、実際の景気よりも先に動くという特徴があるため、利下げによる企業業績の向上を見込んで投資家が買いを入れるためだと思われます。
業種別に見ていくと、利下げ開始後の情報技術セクターのボラティリティ(価格変動)の大きさが目立ちます。
1998年9月のLTCM破綻(アジア通貨危機の結果起きた市場の大変動を吸収しきれず、ヘッジファンド大手のロングターム・キャピタル・マネジメントが破綻)の時期は大きな上昇が起きましたが、この時期は家庭にインターネットが普及を始めた時期でもあり、例外と考えたほうがいいかもしれません。
一方、ITバブル崩壊、リーマン・ショック時の情報技術セクターは大きく下げました。足元の生成AI・半導体関連企業への人気集中でバリュエーション(投資価値評価)が相当高くなっていることを踏まえれば、これから情報技術セクターに集中投資を行うのは少々博打のような気がします。
また、素材やエネルギーセクターの強さが目立ちますし、生活必需品や公益といったディフェンシブセクターはやはり景気が悪くなる局面においても安定したパフォーマンスを発揮しています。
〈米国株式市場の業種別パフォーマンス〉 2024年1月~9月
今年に入ってからの米国株式市場(S&P500)の業種別パフォーマンスを見ても、最も高いリターンとなっているのは公益セクター(S&P500 Utilities)であり、やはり公益セクターの景気悪化局面での強さが表れていますね。
株式市場以外にも注目が
株式市場以外でどのような資産がFRBの利下げ開始後に強かったのかというと、まず挙げられるのは債券のパフォーマンスが良いこと。
利下げは通常長期金利の低下を招きますので、債券価格の上昇に繋がります。とくに信用力が高い米国国債や米国投資適格社債(BBB以上の格付けを持つ社債)が強みを発揮する局面です。
但し、これは米ドル・ベースの話しで、私達日本人が投資を行う場合には注意が必要。
それは米国の景気が悪化して金利が下がると、為替が円高方向に振れる可能性が高いためです。為替ヘッジの活用を含めて、円高への対応策を考える必要があるでしょう。
投資家から集めた資金に、銀行からの借り入れを加えて不動産に投資を行うREIT(リート、不動産投資信託)にとっても利下げは追い風になります。
しかし、先に述べた債券同様に、利下げ局面で日本人が米国REITに投資を行うと為替差損を被る可能性が高いと思われるため、為替ヘッジ付きのファンドを活用も検討してもいいのではないでしょうか?
また、通常は金利が下がると金(GOLD)の価格が上昇するため、金への投資も利下げ局面では有効な手段です。金への投資手段として投資信託を活用すればNISA(成長投資枠)を活用することも可能です。
近年は円安圧力が強かったため、為替ヘッジが付いていないゴールド・ファンドのほうが人気でしたが、今後は為替ヘッジ付きのゴールド・ファンドのほうが見直されるように思います。
新興国は株価上昇に加えて、為替差益を狙える局面
米国の金利が下がってくると、相対的に金利水準が高い新興国のほうに資金が流れやすくなります。
そのためFRBの利下げは新興国にとっては追い風。
為替においては米ドル安/新興国通貨高の方向感で動く可能性が高いと考えられます。
その資金の中には当然株式に向かう資金が含まれるため、新興国株式市場にとってはフォローになるでしょう。
過去FRBが利下げ開始した後に新興国の株式市場は堅調に推移しました。
そのため新興国株式市場は株価の上昇に加えて、為替差益を期待できる局面だと思われます。
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