蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

この執筆者の過去のコラム一覧

2025/04/10

紹介という罠

皆さんは「紹介」と聞いてどんなことを想像されるだろうか?

ご友人から人を紹介される。
友人から仕事を紹介される。
友人から美味しいお店を紹介される。
友人から美容室を紹介される。
友人からいい人だからと人を紹介される。
友人からいい場所だからと観光地を紹介される。
友人からいいビジネスだからと仕事を紹介される。
友人から儲かる仕事だからとよくわからないけどそれを上手に説明してくれる人を紹介される。
友人から儲かる投資だからと紹介される…

紹介とは一体なんなんだろうかと考えてみたことはあるだろうか?

「紹介」には2種類ある

紹介には2種類あることに注意が必要と私は常日頃考えている。
皆さんは「紹介」された何かで痛い目に遭ったことはないだろうか?実は私は紹介で痛い目に遭ったことなど数え切れないほどある。

例えば投資詐欺。
投資詐欺の多くは信頼している友人から話がやって来るのではないだろうか?
最近は特殊詐欺と呼ばれるような友人の紹介など介さないホントに酷い詐欺犯罪も増えているが、友人の紹介ということで信じてしまい、お金が失われたなどということを経験された方も少なくないだろう。

それに対して友人からこんな紹介もあるだろう。
「この前行ったラーメン屋さんがホント美味しかったよ。今度行ってみて!」とか「あのお店品揃えが素晴らしくてしかも安いよ、行ってみたら」とかそんな紹介だ。
何が違うのだろうか?

一つ違いを挙げるとしたらその紹介をした人に見返りが発⽣するかしないかだろうか。
もっというとお金目当てで紹介するか、相手が喜んでくれるから紹介するのかの違いだ。

MLM~マルチレベルマーケティング

投資の紹介のみならず、紹介の連鎖によって紹介手数料が発⽣し収入を⽣むビジネス、MLM(マルチレベルマーケティング)もある。
マルチレベルマーケティングは、良い商品をマスメディアの広告によらず消費者として実際商品を使った人が良さを実感し、他人にもその良さを口コミにて知らせ、喜ぶ人が連鎖して行くという貢献が繋がって行くものだ。

しかし紹介に収入が発⽣するビジネスは一定数悪く言う人もいる。
実際そういうものは全てダメなのか?
そうではない。
私が考えるに、紹介のやり方によって良いものになったり悪いものになったりするのだと思う。

紹介という名の押し売り

私の本業は金融商品の営業なのだが、実際私が自ら売り込みしたことは銀行勤務していた頃と、銀行を辞めて今の仕事に就いた当初の数年しかない。
その後二十数年間は全く売り込みをせずに、お客様のご紹介だけで顧客の数で言うと1,000人を超えるようになってきた。

当初一⽣懸命に売り込みをしたと私が自覚している期間もあるが、その営業してきた期間は紹介営業ということでマネージャーから指導を受けその通りやって来たものだ。
その当時教わった紹介営業は、今思うと紹介ではなく売り込みだった。

やり方はこうだ。
お客様になってくださった契約者に、大切なご友人や会社の同僚を是非ご紹介お願いしますとこちらから紹介を依頼する。
紹介を依頼すると「…でも友達がこの話を聞きたいか分からないから」と断られる。
断られても半ば強引に紹介してもらうトークなど練習していて、嫌々ながらでも繋がれた方が話を聞いて頂いた上で気に入って頂くかもしれない。
その後はご自身が判断されることですからと言って、とにかく紹介を絞り出す感じだった。

違和感を持ちながらしばらく頑張っていたのだがある時、明確に氣づくに至る。
自分がやっていることは紹介と言う名の押し売りだと。
世の中の「紹介営業」と言われているものは、ほとんどがこの紹介と言う名の押し売りをしているのだと思った。

本物の紹介

本物の紹介とは、顧客が自ら自分が大切と思っている友人や家族に見返りを求めず繋いで頂くこと
と思った。
自分の過去をさらけ出すようなお話しになってしまったが、このお話をすることが皆さんにわかりやすくご理解頂けることに繋がるのではないかと思った。

大切で信頼している人から紹介が来たら、その裏に何か紹介に対して見返りがあり、それが目当ての
紹介になっているか、そうではなく見返りなど関係ないところで本当に貴方のことを無条件に考えた紹介なのか、少しだけ立ち止まり判断する時間を持つとよろしいのではないかと思う。

今まさに営業を仕事とされて頑張っていらっしゃる皆様には、どうしたら売り込みせずに喜んで買っていただけるのかというお話をぜひさせて頂きたいと思うが、それについてはまた別の機会にしたいと思う。

今回のお話が皆様に少しでもお役に立てたら幸いだ。

すべての著作権は(株)大洋不動産に帰属しています。無断転載は固くお断りいたします。