蔵茂 暉大

ファイナンシャルプランナー
長野県で生まれる。
大学時代は東北地方で過ごし、旅行会社への就職を夢見て独学で国家資格である「旅行業務取扱主任者」を取得するが銀行員だった父親の影響もあり大手地方銀行に就職。
旅行業界の知識も生かし現職では全国に顧客を持つ。

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2025/07/10

日本の物価上昇と給料の引き上げについて

物価上昇が引き起こす企業倒産

今月は日本のお米のニュースで持ちきりだったので、お米のことを書いて皆様にお米の現状を知って頂きたいと思ったのだが、お米のことをお伝えしようとしたならば、どうしても日本の物価上昇の問題や、それに関連して引き起こされる企業倒産のことを書かないわけにはいかないだろうというわけで、日本の企業の現状についてまずお伝えしたいと思う。

毎度海外に行くと、モノの値段がとにかく高くてビックリするというお話をしているが、日本にいても最近のモノやサービスの値上がりにはビックリさせられる。
このモノやサービスの値上がりが理由の一部となり引き起こされているのが、日本の中小企業の倒産である。

横浜中華街の名門レストラン「聘珍樓」の倒産には、皆様も驚いたに違いない。
香港に本店があり、香港では違う会社名にて営業しているため、本店について知っている日本人はほとんどいないと思われるが、香港の本店に行ったことがある私から言わせると聘珍樓の破綻は物価上昇など取り沙汰されている理由以外にも倒産理由があるように思うが、そこの話に入ってしまうと本題からは外れた話になりそうなので、またそこは別の機会にお話したいと思う。

他にも少し大きな倒産がいくつかある。
タッパーウェアという会社を皆さんはご存知だろうか?
良質の食品保存ケースを日本に持って来た会社で、最初はネットワークビジネスとして日本ではは立ち上がっている。私の母が上陸間もないタッパーウェアの製品を使っていたのを良く覚えている。
同様の食品保存に使うケースが格安で生まれたことによる倒産かなと思う。

最近の倒産は物価上昇によるものが多いとは思うが、一方で顧客の本物志向の表れと思われるものもある。
つまり安売りが流行らなくなって顧客の本物志向が高まったことによる倒産と、安売りのライバル出現による倒産と両極端の理由があるように思う。

日本と諸外国の違い

日本は諸外国と比べ圧倒的に物価が安いまま、低調な経済のもと、給料も全く上がらない状況が続き物価も給料も倍に上がっているような他国から取り残された状況になっている。

こんな日本に給料が上がっている外国人が旅行に来たら、モノやサービスの値段が全く上がっていない日本は天国だと思うに違いない。

今まで物価が上がらないのとともに給料も上がらなかった日本が、急に給料の上昇に追いつかない物価上昇を経験したからこれは大変である。
国も、「給料をもっと上げなければ」と根本的に経済を立て直しをしないまま、「最低賃金だけを引き上げ」、かなり強引に給料を上げようという政策に出ているものと思う。
これでは倒産は増えて当たり前と思う。

しかし私達も国任せにするのではなく少し考える必要がある。
米がいい例だが、米が高いのは困るが極端に安くする必要があるのか?
既に日本は安売りでは商売が流行らない状況になっている。

モノやサービスが飽和状態になったわが国は「安いよ」だけではモノを買って頂けないし、サービスを受けようと思わないのではないか。
安いよりは「価値があるか」で選ばれる状況になってきていると思うのだ。
そう考えると米が安いと言って「安い米が欲しい」と感じる方もいるかもしれないが、やっぱり価値の高い「美味しい米がいい」という方も多いと思う。

米の価格が5キロ3,500円くらいが、農家さんも適正に生き残ることができる適正な価格ではないかと分析している専門家も多い。

モノの本当の価値を見出すチャンスが、わが国に訪れているのではないかと思う。
そういう意味では、例えばうなぎの格安チェーンなんかも何となく「大丈夫なのかな」って感じる今日この頃である。

他にも本当の価値はどこにあるのかと、食べるものだけでなく金融やサービスの分野でも考えなくてはならない時に来ているのではないだろうか。
今一度、本当の価値について考えて頂けるきっかけになれば幸いだと思う。

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