2026/01/10
遺産分割で寄与分を主張する場合の留意点
Q 先日、長年にわたり長女である私Aと一緒に暮らしてきた父が98歳で亡くなりました。
私は、長男Bと次男Cと3人兄弟ですが、既に母は他界しているため、私が一人で父の生活の面倒を見てきました。
私が夫と2人の子を連れて父と同居し、父の療養看護をしてから25年程になります。
長男も次男も他県に居住しており、父の世話は私が一人でずっと行ってきました。
四十九日を過ぎたところで、長男Bから、遺産分割の話をしたいので、集まってほしいとの連絡があり、遺産の話をしました。
長男Bも次男Cも、父の遺産を皆平等に3分の1ずつ分けようと言っています。
私としては、長男Bも次男Cも、父の老後の世話は全く行っておらず、私一人が父の面倒を見てきたのですから、父に貢献した寄与分を請求したいと思います。
寄与分を請求する場合の注意点を教えて下さい。

1 遺産分割と寄与分
人が亡くなり、被相続人の遺産分けをする場合には、遺言等の特別の定めがない限り、相続人は、原則として、各自が有する法定相続分割合で遺産を分けることになります。
ただし、民法はその例外として「寄与分」についての定めを置いています。
それは、共同相続人中に、
①被相続人の事業に関する労務の提供
②財産上の給付
③被相続人の療養看護その他の方法
により、被相続人の「財産の維持または増加」について「特別の寄与をした者」があるときは、相続財産のうち、相続人の協議で定めた寄与分を、相続財産から差し引いて、その残りを法定相続分割合で各自が取得するとともに、寄与した相続人に対してはそれに加えて寄与分を付加して取得させると定めています。

たとえば、本件では相続人はA、B、Cの3人ですから、原則的には被相続人の遺産を3分の1ずつ分けるのですが、長女Aの寄与分が遺産の3分の1相当であるとすると、残りの3分の2を3人で分けることになりますから、A、B、Cは、被相続人の遺産のうち、「2/3×1/3=2/9」として各自遺産の9分の2を受け取ることになりますが、Aはその9分の2に加えて遺産の3分の1の寄与分を取得しますから、Aのみ遺産の9分の5を取得できるということになります。
2 寄与分の類型
寄与分には、
①被相続人の営む事業に自分の労務を提供して被相続人の財産を維持・増加させる「労務提供型」
②被相続人に仕送りをするなど財産を給付して被相続人の財産を維持・増加させる「財産給付型」
③被相続人の療養看護を行い、被相続人が介護人等と介護契約をする報酬相当額を不要として被相続人の財産を維持・増加させる「療養看護型」
などがあります。
注意すべき事は、これらのいずれも無償またはこれに準ずることが必要とされていることです。
もし、これらのことを行ったとしても報酬を得ているのであれば、寄与分については報酬の支払いにより清算済みと考えられますから、相続の際に寄与分を認める必要がないと考えられています。

3 無償であることの要件
相続人が、被相続人との間で療養看護の報酬を定めておらず、報酬としての受取りがなかったとしても、家庭裁判所での寄与分の調停等では、被相続人の預金の出入金記録から、被相続人の生活費や医療費を考慮しても、それ以上の預金の引き出しがあるが、その引出金を寄与分を主張する相続人が受け取っていたとすれば、それが療養看護の報酬に当たるとして争われることが少なくありません。
こうした揉め事が生じないようにするためには、療養看護をする相続人の方は、被相続人の預金口座から預金を引き出す必要が生じた場合には、それが被相続人のために使用されたことを、後日に示せるように、家計簿をつけたり、その領収証を保管しておくなどの気配りをしておく必要があると思います。
Q 先日、長年にわたり長女である私Aと一緒に暮らしてきた父が98歳で亡くなりました。
私は、長男Bと次男Cと3人兄弟ですが、既に母は他界しているため、私が一人で父の生活の面倒を見てきました。
私が夫と2人の子を連れて父と同居し、父の療養看護をしてから25年程になります。
長男も次男も他県に居住しており、父の世話は私が一人でずっと行ってきました。
四十九日を過ぎたところで、長男Bから、遺産分割の話をしたいので、集まってほしいとの連絡があり、遺産の話をしました。
長男Bも次男Cも、父の遺産を皆平等に3分の1ずつ分けようと言っています。
私としては、長男Bも次男Cも、父の老後の世話は全く行っておらず、私一人が父の面倒を見てきたのですから、父に貢献した寄与分を請求したいと思います。
寄与分を請求する場合の注意点を教えて下さい。

1 遺産分割と寄与分
人が亡くなり、被相続人の遺産分けをする場合には、遺言等の特別の定めがない限り、相続人は、原則として、各自が有する法定相続分割合で遺産を分けることになります。
ただし、民法はその例外として「寄与分」についての定めを置いています。
それは、共同相続人中に、
①被相続人の事業に関する労務の提供
②財産上の給付
③被相続人の療養看護その他の方法
により、被相続人の「財産の維持または増加」について「特別の寄与をした者」があるときは、相続財産のうち、相続人の協議で定めた寄与分を、相続財産から差し引いて、その残りを法定相続分割合で各自が取得するとともに、寄与した相続人に対してはそれに加えて寄与分を付加して取得させると定めています。

たとえば、本件では相続人はA、B、Cの3人ですから、原則的には被相続人の遺産を3分の1ずつ分けるのですが、長女Aの寄与分が遺産の3分の1相当であるとすると、残りの3分の2を3人で分けることになりますから、A、B、Cは、被相続人の遺産のうち、「2/3×1/3=2/9」として各自遺産の9分の2を受け取ることになりますが、Aはその9分の2に加えて遺産の3分の1の寄与分を取得しますから、Aのみ遺産の9分の5を取得できるということになります。
2 寄与分の類型
寄与分には、
①被相続人の営む事業に自分の労務を提供して被相続人の財産を維持・増加させる「労務提供型」
②被相続人に仕送りをするなど財産を給付して被相続人の財産を維持・増加させる「財産給付型」
③被相続人の療養看護を行い、被相続人が介護人等と介護契約をする報酬相当額を不要として被相続人の財産を維持・増加させる「療養看護型」
などがあります。
注意すべき事は、これらのいずれも無償またはこれに準ずることが必要とされていることです。
もし、これらのことを行ったとしても報酬を得ているのであれば、寄与分については報酬の支払いにより清算済みと考えられますから、相続の際に寄与分を認める必要がないと考えられています。

3 無償であることの要件
相続人が、被相続人との間で療養看護の報酬を定めておらず、報酬としての受取りがなかったとしても、家庭裁判所での寄与分の調停等では、被相続人の預金の出入金記録から、被相続人の生活費や医療費を考慮しても、それ以上の預金の引き出しがあるが、その引出金を寄与分を主張する相続人が受け取っていたとすれば、それが療養看護の報酬に当たるとして争われることが少なくありません。
こうした揉め事が生じないようにするためには、療養看護をする相続人の方は、被相続人の預金口座から預金を引き出す必要が生じた場合には、それが被相続人のために使用されたことを、後日に示せるように、家計簿をつけたり、その領収証を保管しておくなどの気配りをしておく必要があると思います。
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