医学博士

広橋整形外科医院

廣橋 昭幸

昭和35年生まれ 久留米大学医学部卒業。久留米大学整形外科医局に在籍し、関連病院・大学病院で勤務後、公立八女総合病院整形外科医長。久留米大学整形外科講師を経て、平成17年より実家である福岡市中央区谷「広橋整形外科医院」で診療。こどもから高齢者までを対象に地域医療に携わっています。

医学博士 日本専門医機構・整形外科専門医・日本整形外科学会・スポーツ認定医、脊椎脊髄認定医、リハビリテーション認定医、リウマチ認定医

〒810-0031
福岡市中央区谷1丁目16-38
広橋整形外科医院
TEL 092-712-1454

この執筆者の過去のコラム一覧

2017/06/10

貯「筋」をしましょう!

ときどき患者さんから「○○病院に行ったら、年のせいだから仕方ないって言われたんですよ。」と聞きます。
果たして???

年齢と共に減少する筋肉

20歳から80歳の筋肉量を調べると、体重あたりの筋肉量は、上腕ではさほど変化しませんが、大腿や下腿の筋肉量は年齢とともに減少していくことがわかってきました。筋肉の量は、筋力に比例します。大腿伸筋群は男女とも70歳代では20代の約60%、50歳以降では毎年1%ずつ減少します。腹筋も大腿と同様に年々筋力が低下します。

大腿の筋力の衰えは、歩くときに膝を持ち上げる力が弱くなることを意味します。

「すり足」=転倒しやすい

年をとっても1秒間に何歩歩くかはさほど変わりませんが、歩幅は加齢とともに狭くなる傾向にあります。
椅子からの立ち座りを10回行うのに、

20歳では9秒
70歳では10から20秒かかります。

日々の生活の中にちょっとした運動を

何も運動しないベッド上で寝ている状態が2日続くと筋力は1%低下し、2日寝たきりの状態だと、運動不足気味の高齢者の1年分の筋力低下につながると言われています。
宇宙飛行士が無重力状態で1日過ごすと1%の筋力低下が起こり、当然、骨も身体を支える必要がないので、怠けてしまい痩せて行きます(骨粗鬆症状態)。
若い人でも、ベッド上で安静にしていると、3日で昼夜が逆転してうつろになるのですが、ベッド上で1日10分大腿部の運動すると3日以降も意識がしっかりしているそうです。

高齢者にとって、自分の身の回りのことを自分でできるようにするためには、日々の生活の中に、ちょっとした運動を取り入れることが大切だと考えます。

お台所仕事に、お掃除・・・
普通に歩く程度の運動では、筋力強化や転倒予防には効果が期待できません。
何も考えずに普通に散歩している場合は有酸素運動としての効果はあるかもしれませんが筋力強化にはつながりません。
散歩の途中で、意識して、「次の電信柱までは」ちょっと歩幅を大きめにしたり、いつもよりちょっと早く歩くといった動作・区間を取り入れることで下肢の筋力を落とさないための運動ができます。

いつまでも自立した生活のために

ですから、加齢ではなく、成熟と考えてはどうでしょう?実は「年齢に関係なく、筋肉は鍛えれば増える」と言うことはわかっています。筋力の維持、向上に遅すぎると言うことはありません。「今更、筋トレ?」と言わずに、今日から生活の中に取り入れて見ましょう。

成熟は足元から。
いつまでも自立した生活を送るために、貯金ならぬ、貯筋をしましょう!

すべての著作権は(株)大洋不動産に帰属しています。無断転載は固くお断りいたします。