2017/11/10
最近の相続対策~日本国内のトレンドと海外活用の違い
最近日本国内で、相続事業承継の対策として流行っているのが「家族信託」と「一般社団法人」である。
これは法律をうまく使いながら相続事業承継時の税金を軽減したり繰延べたり、またスムーズに自社株や不動産を相続し争いが起こらないようにする手法である。
どちらかというと納税額をどうにかして減らす意味合いが強い氣がする。
それに対して、アジアであれば香港やシンガポールまた欧米の金融先進地を活用して行われている対策といえば、積極的に金融手法を活用して資産を増やし、増えた分であくまでも税金は納める、納税資金を積極的に作り出すパターンが主流で、納税額を減らすという発想はあまりない地域もある。
やはりインフレ(物価が上がる)の国と日本のようにデフレ(物価が下がる)の国は、相続対策にも手法の差が出るということなのだろうか。
もちろん相続税という税金自体がない国もたくさんある。今回は海外の金融手法を活用して積極的に資産を増やす対策については言及しないが、日本国内の「家族信託」と「一般社団法人」について簡単に解説したい。
「家族信託」
2008年の信託法改正によって、業として信託業務を行っている信託銀行等を通さなくても、例えば家族間の契約書で信託契約を結ぶことができるようになった。
どんな場合に使えるのかというと、実家所有の親が実家で独り暮らしをしていて息子である自分は遠くに離れて住んでいるような場合、 将来的にその親が高齢で施設等に入るなどの理由でその不動産を貸したり売却したりする場合を考えてみよう。
親が認知症等にはなっておらず契約行為が可能な場合はいいが、万が一認知症になってしまった場合、一切契約行為ができなくなる。つまり相続発生まで凍結してしまう。
しかし事前にそうなった場合でも、息子に不動産を信託しておけば親が認知症になっても契約行為ができなくならず、スムーズに相続できる。
相続対策はお金持ちに必要なイメージがあるが、実家を空き家にさせないように多くの方々に必要な対策であることがわかる。
これは不動産だけでなく、現金や特に親の銀行口座の死亡時凍結防止にも効果を発揮する。
「一般社団法人」
もう一つ、相続対策として最近静かなブームになっているのが、一般社団法人の活用である。
社長の中には、顧問税理士などから一般社団法人を設立し、既存の法人からこちらへ移行することを勧められたことがある方もいらっしゃるだろう。
ではこの一般社団法人というのは、相続対策においてどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか?なかなか簡潔に説明されているものがまだまだ存在しないので、ここで簡単に説明したい。
まずどんな方にメリットがあるのか考えてみよう。
詳しい説明は一般社団法人に詳しい専門家からきちんと聞いていただきたいのだか、どなたでも簡潔にご理解いただけるように敢えて説明こちらですると、
株式会社との一番の違いは、出資金(自社株)に対して個人の出資者の持ち分がないというところである。
また、一般社団法人と聞くと何か公益事業をやらなくてはならないイメージがあるが、一般社団法人はそうではない。事実上株式会社と同じことができる。
それによってどこが相続対策になるのかと言うと、出資金(自社株)に持ち分がないことから出資金はずっと法人のものであり、法人は死なないので簡単に言うと出資金の相続自体が発生しない。だから自ずと相続税はかからないのである。
ただし注意しなくてはならないのは、例えば株式会社を一般社団法人に移行させる時は当然一般社団法人が以前の株式会社などの出資金の贈与を受けるのか、譲渡を受けるのか、貸付で移転するか等、移行時はどんな移転の仕方を取るのかを考えなくてはならない。
それによって、当然移行時税金がかかる場合もある。
要は一般社団法人への移行は、儲かり続けていてどんどん自社株の評価額が上がり続けてしまう会社の評価額を、現時点を持って値上がりをストップさせるという効果を持つということであろう。
そしてこのような対策のデメリットを言えば、皆がやり始めると必ずストップがかかるということである。
現在 一般社団法人の年間設立件数は約7,000社までになってきている。
これが一般的になって誰もが今後の相続税値上がりを抑えることになって来れば、当然それには法改正等によるストップがかかる。
その辺も考慮に入れて提案を検討すべきと思う。
先に申し上げた通り、日本と海外の対策の違いを見ると海外は積極的にお金を増やしてそれで納税資金を作り出し納税するのに対して、日本では法律の網をくぐってなんとか納税額を減らす方向を目指す特徴がある。
ここに日本のデフレの原因があるような氣もしてならない。
最近日本国内で、相続事業承継の対策として流行っているのが「家族信託」と「一般社団法人」である。
これは法律をうまく使いながら相続事業承継時の税金を軽減したり繰延べたり、またスムーズに自社株や不動産を相続し争いが起こらないようにする手法である。
どちらかというと納税額をどうにかして減らす意味合いが強い氣がする。
それに対して、アジアであれば香港やシンガポールまた欧米の金融先進地を活用して行われている対策といえば、積極的に金融手法を活用して資産を増やし、増えた分であくまでも税金は納める、納税資金を積極的に作り出すパターンが主流で、納税額を減らすという発想はあまりない地域もある。
やはりインフレ(物価が上がる)の国と日本のようにデフレ(物価が下がる)の国は、相続対策にも手法の差が出るということなのだろうか。
もちろん相続税という税金自体がない国もたくさんある。今回は海外の金融手法を活用して積極的に資産を増やす対策については言及しないが、日本国内の「家族信託」と「一般社団法人」について簡単に解説したい。
「家族信託」
2008年の信託法改正によって、業として信託業務を行っている信託銀行等を通さなくても、例えば家族間の契約書で信託契約を結ぶことができるようになった。
どんな場合に使えるのかというと、実家所有の親が実家で独り暮らしをしていて息子である自分は遠くに離れて住んでいるような場合、 将来的にその親が高齢で施設等に入るなどの理由でその不動産を貸したり売却したりする場合を考えてみよう。
親が認知症等にはなっておらず契約行為が可能な場合はいいが、万が一認知症になってしまった場合、一切契約行為ができなくなる。つまり相続発生まで凍結してしまう。
しかし事前にそうなった場合でも、息子に不動産を信託しておけば親が認知症になっても契約行為ができなくならず、スムーズに相続できる。
相続対策はお金持ちに必要なイメージがあるが、実家を空き家にさせないように多くの方々に必要な対策であることがわかる。
これは不動産だけでなく、現金や特に親の銀行口座の死亡時凍結防止にも効果を発揮する。
「一般社団法人」
もう一つ、相続対策として最近静かなブームになっているのが、一般社団法人の活用である。
社長の中には、顧問税理士などから一般社団法人を設立し、既存の法人からこちらへ移行することを勧められたことがある方もいらっしゃるだろう。
ではこの一般社団法人というのは、相続対策においてどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか?なかなか簡潔に説明されているものがまだまだ存在しないので、ここで簡単に説明したい。
まずどんな方にメリットがあるのか考えてみよう。
詳しい説明は一般社団法人に詳しい専門家からきちんと聞いていただきたいのだか、どなたでも簡潔にご理解いただけるように敢えて説明こちらですると、
株式会社との一番の違いは、出資金(自社株)に対して個人の出資者の持ち分がないというところである。
また、一般社団法人と聞くと何か公益事業をやらなくてはならないイメージがあるが、一般社団法人はそうではない。事実上株式会社と同じことができる。
それによってどこが相続対策になるのかと言うと、出資金(自社株)に持ち分がないことから出資金はずっと法人のものであり、法人は死なないので簡単に言うと出資金の相続自体が発生しない。だから自ずと相続税はかからないのである。
ただし注意しなくてはならないのは、例えば株式会社を一般社団法人に移行させる時は当然一般社団法人が以前の株式会社などの出資金の贈与を受けるのか、譲渡を受けるのか、貸付で移転するか等、移行時はどんな移転の仕方を取るのかを考えなくてはならない。
それによって、当然移行時税金がかかる場合もある。
要は一般社団法人への移行は、儲かり続けていてどんどん自社株の評価額が上がり続けてしまう会社の評価額を、現時点を持って値上がりをストップさせるという効果を持つということであろう。
そしてこのような対策のデメリットを言えば、皆がやり始めると必ずストップがかかるということである。
現在 一般社団法人の年間設立件数は約7,000社までになってきている。
これが一般的になって誰もが今後の相続税値上がりを抑えることになって来れば、当然それには法改正等によるストップがかかる。
その辺も考慮に入れて提案を検討すべきと思う。
先に申し上げた通り、日本と海外の対策の違いを見ると海外は積極的にお金を増やしてそれで納税資金を作り出し納税するのに対して、日本では法律の網をくぐってなんとか納税額を減らす方向を目指す特徴がある。
ここに日本のデフレの原因があるような氣もしてならない。
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