2018/03/10
今、地方銀行で起こっていること
長引く低金利
ゼロ金利政策により、地方銀行中心に大きな変化が金融機関に起こり始めている。
私は17年前まで、長野県の大手地方銀行に勤務していたことは以前にお話していたかと思う。
現在、金融機関を取り巻く環境は私が銀行勤務時代と大きく違う部分もあれば、また同じ繰り返しが起こりそうな部分もある。
私が銀行を辞めた当時、金利が当時の水準としてはかなり下がり銀行も本業での収益がどんどん下がってきている状況だった。そこで考えられていたのが手数料を稼ぐことができる仕組みの構築だ。
例えばATM時間外手数料、同一店内振込の有料化、小切手手形発行手数料等の手数料また投資信託、保険の販売手数料等を積極的に銀行として頂いて行こうという動きが当時あった。
これは今でも続いている。
バブル時代は6%の定期預金に預けて頂き10%で貸し出しできた。今はどうだろうか?
0.01%で預り0.7%で貸す なんてことが起こっている。これを利鞘というのだが、利鞘がとれないなら手数料ビジネスということである。
これにより実際現場で起こっていたのは「定期預金は預かるな。投資信託を売れ」という販売商品の変化だ。
地方銀行の二極化
こんな中、利鞘の少ない企業融資、債券投資等が中心の昔ながらの収益体質を持ち続ける銀行もあれば、個人の住宅ローンや不動産活用のローンに大規模にシフトする銀行も少数派だが現れた。
また個人のカードローンやおまとめローンに力を入れている銀行もある。
銀行員にも変化があった。
まずとにかく勉強しなければならないことが増え、元々繁忙な銀行員がさらに忙しい状況下におかれた。
それに加えてノルマが凄くなっているだろう。
銀行員のノルマは本部が決めた銀行全体の数値目標を支店に割り当て、割り当てを受けた支店側が預金係、融資係別に数字を分け、各銀行員にほぼ頭割りで割り当て「今年はこれをやりなさい!」という感じだ。このやり方にはみんな疑問に思いながら長年の慣習のように続けられている。
不動産への過剰融資という問題
こんな中最近言われ始めたことがある。
地方銀行中心に不動産投資等に行われる融資が過剰ではないかという話だ。
金融庁も不動産に関する融資の審査を厳格にするよう動き始めている。
東京中心に現在大きな、いや、これからかなり社会に大きなインパクトを与えるであろう事象が進行中だ。それはサブリースという手法で作られたシェアハウスという仕組みに投資する不動産投資に関するトラブルだ。
シェアハウスはご存知だろうか?
「男女がシェアハウスに住み恋愛をする」というテレビ番組から一躍有名になったものであるが、リビングや水回りを10~20人の住人でシェアしているのが特徴の物件だ。
東京は家賃が高く初期費用も大きくなって大変だったり、入居の保証人などの問題もある。シェアハウスは家賃を抑え、地方から上京する方々へ諸々の障壁も取り除いたので普及した。
しかしこのシェアハウスの仕組みを提供している業界大手の会社が、入居率を偽ったりスキームが上手く行っているかのように偽装して不動産の実勢価格を大きく上回る金額で物件売買し、その資金をほぼ1つの銀行が実態の担保価値を大きく上回る金額で評価しすでに破綻状態だった可能性の高いこの仕組みに過剰な融資を破綻直前まで行っていた可能性が高い。
被害者がこの会社だけでも800人いると見られる。
このサブリースという仕組みは、まず借入を起こしてシェアハウスの物件オーナーになる。シェアハウスの管理を行う会社が一括して各地にある物件に一定期間一定額の賃料を払うことを保証し、空室があっても一定ということになっている。
しかし今回、空室率が実際の説明よりかなり多く家賃収入で仕組みを回せず、新規物件を建て続けることによる収入に頼った自転車操業状態になってしまい、ついにお金が回らなくなったようだ。
物件オーナーは賃料収入を突然失い、銀行返済だけ残った形になってしまった。
いろいろな原因があるが、低金利下でなんとか収益を上げたい銀行が適正にスキームのチェックを行わず、実態よりかなり高い評価額で担保評価を行っていた可能性があり被害者はそれに巻き込まれた可能性がある。
資金の供給者である銀行は、自行の利益追求も大切だが社会的責任も絶大であり人の人生を大きく変えてしまうこともあるということを自覚し、慎重な融資活動が求められていると思う。
今回の事件が今後の銀行の適正融資をきっちり考えるきっかけになること、また今回の事件に巻き込まれた投資家がきちんと救済されることを願っている。
長引く低金利
ゼロ金利政策により、地方銀行中心に大きな変化が金融機関に起こり始めている。
私は17年前まで、長野県の大手地方銀行に勤務していたことは以前にお話していたかと思う。
現在、金融機関を取り巻く環境は私が銀行勤務時代と大きく違う部分もあれば、また同じ繰り返しが起こりそうな部分もある。
私が銀行を辞めた当時、金利が当時の水準としてはかなり下がり銀行も本業での収益がどんどん下がってきている状況だった。そこで考えられていたのが手数料を稼ぐことができる仕組みの構築だ。
例えばATM時間外手数料、同一店内振込の有料化、小切手手形発行手数料等の手数料また投資信託、保険の販売手数料等を積極的に銀行として頂いて行こうという動きが当時あった。
これは今でも続いている。
バブル時代は6%の定期預金に預けて頂き10%で貸し出しできた。今はどうだろうか?
0.01%で預り0.7%で貸す なんてことが起こっている。これを利鞘というのだが、利鞘がとれないなら手数料ビジネスということである。
これにより実際現場で起こっていたのは「定期預金は預かるな。投資信託を売れ」という販売商品の変化だ。
地方銀行の二極化
こんな中、利鞘の少ない企業融資、債券投資等が中心の昔ながらの収益体質を持ち続ける銀行もあれば、個人の住宅ローンや不動産活用のローンに大規模にシフトする銀行も少数派だが現れた。
また個人のカードローンやおまとめローンに力を入れている銀行もある。
銀行員にも変化があった。
まずとにかく勉強しなければならないことが増え、元々繁忙な銀行員がさらに忙しい状況下におかれた。
それに加えてノルマが凄くなっているだろう。
銀行員のノルマは本部が決めた銀行全体の数値目標を支店に割り当て、割り当てを受けた支店側が預金係、融資係別に数字を分け、各銀行員にほぼ頭割りで割り当て「今年はこれをやりなさい!」という感じだ。このやり方にはみんな疑問に思いながら長年の慣習のように続けられている。
不動産への過剰融資という問題
こんな中最近言われ始めたことがある。
地方銀行中心に不動産投資等に行われる融資が過剰ではないかという話だ。
金融庁も不動産に関する融資の審査を厳格にするよう動き始めている。
東京中心に現在大きな、いや、これからかなり社会に大きなインパクトを与えるであろう事象が進行中だ。それはサブリースという手法で作られたシェアハウスという仕組みに投資する不動産投資に関するトラブルだ。
シェアハウスはご存知だろうか?
「男女がシェアハウスに住み恋愛をする」というテレビ番組から一躍有名になったものであるが、リビングや水回りを10~20人の住人でシェアしているのが特徴の物件だ。
東京は家賃が高く初期費用も大きくなって大変だったり、入居の保証人などの問題もある。シェアハウスは家賃を抑え、地方から上京する方々へ諸々の障壁も取り除いたので普及した。
しかしこのシェアハウスの仕組みを提供している業界大手の会社が、入居率を偽ったりスキームが上手く行っているかのように偽装して不動産の実勢価格を大きく上回る金額で物件売買し、その資金をほぼ1つの銀行が実態の担保価値を大きく上回る金額で評価しすでに破綻状態だった可能性の高いこの仕組みに過剰な融資を破綻直前まで行っていた可能性が高い。
被害者がこの会社だけでも800人いると見られる。
このサブリースという仕組みは、まず借入を起こしてシェアハウスの物件オーナーになる。シェアハウスの管理を行う会社が一括して各地にある物件に一定期間一定額の賃料を払うことを保証し、空室があっても一定ということになっている。
しかし今回、空室率が実際の説明よりかなり多く家賃収入で仕組みを回せず、新規物件を建て続けることによる収入に頼った自転車操業状態になってしまい、ついにお金が回らなくなったようだ。
物件オーナーは賃料収入を突然失い、銀行返済だけ残った形になってしまった。
いろいろな原因があるが、低金利下でなんとか収益を上げたい銀行が適正にスキームのチェックを行わず、実態よりかなり高い評価額で担保評価を行っていた可能性があり被害者はそれに巻き込まれた可能性がある。
資金の供給者である銀行は、自行の利益追求も大切だが社会的責任も絶大であり人の人生を大きく変えてしまうこともあるということを自覚し、慎重な融資活動が求められていると思う。
今回の事件が今後の銀行の適正融資をきっちり考えるきっかけになること、また今回の事件に巻き込まれた投資家がきちんと救済されることを願っている。
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