(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2018/06/10

ただ今、人口増加中

不動産と相続のアドバイザー、小峰裕子です。
「人口増加中」とは何ごとか、今回は日本に住む外国人の方々をテーマにしたお話です。

福岡市の中で外国人が多いのは東区

大洋不動産が所在する福岡市東区は、昔から外国人が多く住むエリアです。
九州大学箱崎キャンパスや九州大学付属病院が近いこともあり、30年以上前から留学生や教職など外国の方々が身近に滞在していました。ただ、そうした外国人は国費留学など国や会社を背負って来日する選ばれし方々でした。
ところが今や様相は激変、九州大学も今年9月で西区の伊都キャンパスに完全に移転するに伴い、教職はもちろん留学生はほぼいなくなりました。

では外国人がいなくなったかというと逆で、むしろ驚くべきスピードで増加中です。
法務省の在留外国人統計(2017年6月)によれば、福岡市東区は全国市区町村中38位(9,840人)で、55位の博多区(8,097人)を2,000人近く上回っています。
ちなみに1位は東京都新宿区(43,354人)で、上位のほとんどは東京が占めていますが、渋谷区(35位 10,635人)と福岡市東区の在留外国人数はそれほど変わらないことを見れば、総人口に占める外国人比率は結構高いことが推察できます。

どちらの国からやって来たのか、福岡市が国籍別のデータを公表していますので可視化してみました。元々中国系や韓国系外国人の方々が多い土地柄ではありますが、ベトナムやネパールなど東南アジアから来る外国人が増加しているのが近年の特徴のようです。

超高齢少子社会を救う若い外国人

平成が終わろうとする今、日本人の数は記録的とも言える勢いで縮小していますが、一方で外国人の人口は10年間で1.5倍(総務省)と急速に増えています。
タクシーの運転手さんから聞いた話ですが、夜9時を過ぎる頃から食品加工工場に向かう路線バスは深夜勤務の外国人で満員だそうです。
今や日本人がやりたがらない仕事は外国の方々で何とか保たれているのが実情ですし、政府は「移民政策は取らない」と言うものの足元では確実に外国人の手を必要とする場面が増えています。
男女問わず若い人たちが多いのも特徴で、超高齢少子社会の日本を救うのは日本に滞在する若い外国人なのではと思うほどです。

不動産市場にとっても重要な分野です。近年の売買事例を引き合いにして言えば、築30年以上経つ古びたマンションの買い手はいつも外国人です。また、「利便が悪い」もしくは「古い」賃貸不動産ほど外国人の入居しかなく、そのようなアパートばかりだというエリアも存在するほどです。
地元の方と話をすると「言葉が通じなくても挨拶ぐらいはしないとね」と、現実路線に舵を切ったことを教えてくれたりするのです。

外国人目線で考えてみる

人口が減ると需要が減るため、住宅の価格や家賃などへの様々な影響が考えられます。
それでも若い人を中心に増え続ける外国人は、将来の需要拡大を担う重要な存在となることは確実でしょう。不動産市場がどう対応し変わっていくのか大変興味深いところです。
おりしも文部科学省は2020年までに外国人留学生を30万人に増やす「30万人計画」を推進中です。それをチャンスととらえるビジネスも、確実に存在しているのです。

ちなみに日本での滞在資格のひとつ「留学」は、日本語学校での勉強も該当します。この場合アルバイトは勉強以外の活動ですから「資格外活動許可」申請をしてアルバイトをします。いわゆる観光ビザと呼ばれる「短期滞在」でのアルバイトは認められていません。
このように外国の方々が置かれている状況の理解に努め、外国人目線で何が求められているのかを考えてみたら、不動産市場にも新風が吹き込むのではないでしょうか。

不動産市場は世相を映す鏡

人の数より住居の数が年々多くなっていく日本。
民泊やシェアハウスなど新たな潮流も活発化することが予想され、従来の不動産利用法に加えて応用編が続々誕生することは間違いありません。
不動産、特に賃貸不動産市場は世相を映す鏡なのです。

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