2018/07/10
美しく散る花であるために
不動産と相続のアドバイザー、小峰裕子です。
「花は散るから美しい」。雅な方は世阿弥の言葉を、40~50代で少女漫画をお読みだった方なら「キャンディ・キャンディ」の主人公の初恋の人、アンソニーの言葉を思い出すことでしょう。アンソニーはその後死んでしまいます。
人の命も花と同じ、儚さを知ってこそ命ある今を大切に感じます。
人生のエピローグの迎えかた
信州は長野県、佐久市というところに「ぴんころ地蔵尊」という観光名所があります。
「ぴんぴん」(健康で長生きし)ころり(寝込まず楽に大往生する)という願いから建立されたお地蔵さん(佐久市ホームページより)を拝もうと、全国各地からシルバー世代がやってくる人気のパワースポットです。
命の散り際に人様に迷惑だけはかけたくない、私もそう願います。
ただ現実は、誰かのお世話になるかも知れない期間が男性で8.84年、女性で12.35年(厚労省/平均寿命・健康寿命)との発表もあります。
病が癒えても脳の機能が保てないこともあるでしょう。5人に1人と言われる「認知症」です。
認知症になると何が困るのか、それは大切なことが自分で決められなくなることです。
すると誰かが「自分が大切に思うこと」を決めなくてはなりません。
「今、自分で意思表明をしておく」という準備ができるなら、最後まで私らしくいられそう。美しく散りたいのは、女性ばかりか男性も同じはずです。
今回は5つの方法をご紹介してみたいと思います。ひとつでも実行して頂ければ、その選択はあなたの人生のエピローグに寄り添う人を必ず幸せにします。
美しく散る花になることを、お約束いたします。
尊厳死宣言
もしあなたが病を得て回復の見込みがない末期の状態にある時、延命治療についてご家族の意見が一致するとは限りません。
また延命治療はしないと決めたにしても、複雑な思いが残ることがあるかもしれません。
「尊厳死宣言」とは、延命治療はせず自然な死を受け入れたいというあなた自身の意思表明です。ご家族の精神的負担はどれだけ軽くなることでしょう。
公証人役場で尊厳死宣言公正証書を作成しますが、1万3,000円程度費用がかかります。なお、公証役場でのご相談は無料です。
アドバンス・ケア・プランニング
7月5日付日経新聞の一面記事で、特別養護老人ホームの整備が進んでいない実態と「施設に頼らない訪問診療や看護、介護」サービスの拡充推進が明らかにされました。偶然にも先日、訪問診療の第一人者である内田直樹先生(医療法人すずらん会 たろうクリニック院長 http://taro-cl.com/)のお話を伺う機会があり、終末期においては約70%の方が治療や療養を自己決定できていないという事実を知りました。
たとえば「本人とご家族、そして医療関係者が事前にその意向を聞き話し合うプロセスが持たれるのなら、それは望ましいことではないか」。これを「アドバンス・ケア・プランニング」と言うそうです。
いつ行うのかなど課題はありますが、治療よりご自分のこれまでの生き方や歩んできた道をケアしてくれる人たちと共有する機会になれば、ご自分はもちろんご家族の不安も減り、満足感が増すように思います。
エンディングノート
人生何があるかわかりません。
残されたご家族は、お葬式は?生命保険は?預貯金は?実家のどこに何があるのかさっぱりです。遠方に離れて住むなら尚のことです。
せめてエンディングノートを書いて残しておかれませんか。立派なものでなくてもいいのです。
身体のこと、財産やお葬式のことなど、簡単ながら必要不可欠な事柄が網羅されているものを手に取ってみて下さい。
私がお勧めするエンディングノートは全14ページ、お値段も1,000円と手頃です。一般(社)終活カウンセラー会員価格でお分けしていますので、お気軽にご連絡下さい。
遺言
より確実に、ご家族に財産を遺すなら遺言です。
「小さなことこそ確実に」がモットーの私がおすすめするのは「公正証書遺言」です。
どうしてこのような分け方を望んだのか、それは「付言」に書き残すことが出来ます。
さらにもうひとつ、ご自分の亡き後、遺言どおり財産が分けられるように、また手続きにおいて忙しいお子さん達の手を煩わせることがないように「遺言執行者」を定めておかれることを強くおすすめいたします。
遺言は家族に残す最後のラブレターと言われますが、遺言執行者はあなたの亡き後も静かに寄り添うパートナーです。
家族信託
遺言は亡くなってから効力を発揮しますが、亡くなる前にもできることがあります。
まず財産の分け方を決めたら、家族会議を開いて同意を得ます。そしてそれを契約書にしておくのです。
この過程でもめるようなことがあれば、あなたが亡くなった後間違いなく「争族」となりますから、もっと家族会議を重ねる必要があります。
いたってオープンな財産の承継法、それがいわゆる「家族信託」です。
家族信託のメリットは、遺言は財産の承継先を1代限りしか指定できないのに対し、2代3代と連続して指定できることです。
また本人が認知症を患うと、定期預金の解約や自宅など不動産の売却は出来なくなってしまいますが、ご家族に託しておけばいつでも必要な時に解約や売却が可能になります。
こと、財産において家族信託が「認知症に効く特効薬」と言われる所以です。
家族間で信託契約を結びますが、契約にいたる前にご家族の見解を整理する、信頼できるコーディネーターの存在が不可欠です。
家族を繋ぐ言葉は「ありがとう」です。
ご家族を幸せにする、そんな人生のエピローグを考えてみてはいかがでしょう。
美しく散る花であるために。お手伝いができればうれしいです。
不動産と相続のアドバイザー、小峰裕子です。
「花は散るから美しい」。雅な方は世阿弥の言葉を、40~50代で少女漫画をお読みだった方なら「キャンディ・キャンディ」の主人公の初恋の人、アンソニーの言葉を思い出すことでしょう。アンソニーはその後死んでしまいます。
人の命も花と同じ、儚さを知ってこそ命ある今を大切に感じます。
人生のエピローグの迎えかた
信州は長野県、佐久市というところに「ぴんころ地蔵尊」という観光名所があります。
「ぴんぴん」(健康で長生きし)ころり(寝込まず楽に大往生する)という願いから建立されたお地蔵さん(佐久市ホームページより)を拝もうと、全国各地からシルバー世代がやってくる人気のパワースポットです。
命の散り際に人様に迷惑だけはかけたくない、私もそう願います。
ただ現実は、誰かのお世話になるかも知れない期間が男性で8.84年、女性で12.35年(厚労省/平均寿命・健康寿命)との発表もあります。
病が癒えても脳の機能が保てないこともあるでしょう。5人に1人と言われる「認知症」です。
認知症になると何が困るのか、それは大切なことが自分で決められなくなることです。
すると誰かが「自分が大切に思うこと」を決めなくてはなりません。
「今、自分で意思表明をしておく」という準備ができるなら、最後まで私らしくいられそう。美しく散りたいのは、女性ばかりか男性も同じはずです。
今回は5つの方法をご紹介してみたいと思います。ひとつでも実行して頂ければ、その選択はあなたの人生のエピローグに寄り添う人を必ず幸せにします。
美しく散る花になることを、お約束いたします。
尊厳死宣言
もしあなたが病を得て回復の見込みがない末期の状態にある時、延命治療についてご家族の意見が一致するとは限りません。
また延命治療はしないと決めたにしても、複雑な思いが残ることがあるかもしれません。
「尊厳死宣言」とは、延命治療はせず自然な死を受け入れたいというあなた自身の意思表明です。ご家族の精神的負担はどれだけ軽くなることでしょう。
公証人役場で尊厳死宣言公正証書を作成しますが、1万3,000円程度費用がかかります。なお、公証役場でのご相談は無料です。
アドバンス・ケア・プランニング
7月5日付日経新聞の一面記事で、特別養護老人ホームの整備が進んでいない実態と「施設に頼らない訪問診療や看護、介護」サービスの拡充推進が明らかにされました。偶然にも先日、訪問診療の第一人者である内田直樹先生(医療法人すずらん会 たろうクリニック院長 http://taro-cl.com/)のお話を伺う機会があり、終末期においては約70%の方が治療や療養を自己決定できていないという事実を知りました。
たとえば「本人とご家族、そして医療関係者が事前にその意向を聞き話し合うプロセスが持たれるのなら、それは望ましいことではないか」。これを「アドバンス・ケア・プランニング」と言うそうです。
いつ行うのかなど課題はありますが、治療よりご自分のこれまでの生き方や歩んできた道をケアしてくれる人たちと共有する機会になれば、ご自分はもちろんご家族の不安も減り、満足感が増すように思います。
エンディングノート
人生何があるかわかりません。
残されたご家族は、お葬式は?生命保険は?預貯金は?実家のどこに何があるのかさっぱりです。遠方に離れて住むなら尚のことです。
せめてエンディングノートを書いて残しておかれませんか。立派なものでなくてもいいのです。
身体のこと、財産やお葬式のことなど、簡単ながら必要不可欠な事柄が網羅されているものを手に取ってみて下さい。
私がお勧めするエンディングノートは全14ページ、お値段も1,000円と手頃です。一般(社)終活カウンセラー会員価格でお分けしていますので、お気軽にご連絡下さい。
遺言
より確実に、ご家族に財産を遺すなら遺言です。
「小さなことこそ確実に」がモットーの私がおすすめするのは「公正証書遺言」です。
どうしてこのような分け方を望んだのか、それは「付言」に書き残すことが出来ます。
さらにもうひとつ、ご自分の亡き後、遺言どおり財産が分けられるように、また手続きにおいて忙しいお子さん達の手を煩わせることがないように「遺言執行者」を定めておかれることを強くおすすめいたします。
遺言は家族に残す最後のラブレターと言われますが、遺言執行者はあなたの亡き後も静かに寄り添うパートナーです。
家族信託
遺言は亡くなってから効力を発揮しますが、亡くなる前にもできることがあります。
まず財産の分け方を決めたら、家族会議を開いて同意を得ます。そしてそれを契約書にしておくのです。
この過程でもめるようなことがあれば、あなたが亡くなった後間違いなく「争族」となりますから、もっと家族会議を重ねる必要があります。
いたってオープンな財産の承継法、それがいわゆる「家族信託」です。
家族信託のメリットは、遺言は財産の承継先を1代限りしか指定できないのに対し、2代3代と連続して指定できることです。
また本人が認知症を患うと、定期預金の解約や自宅など不動産の売却は出来なくなってしまいますが、ご家族に託しておけばいつでも必要な時に解約や売却が可能になります。
こと、財産において家族信託が「認知症に効く特効薬」と言われる所以です。
家族間で信託契約を結びますが、契約にいたる前にご家族の見解を整理する、信頼できるコーディネーターの存在が不可欠です。
家族を繋ぐ言葉は「ありがとう」です。
ご家族を幸せにする、そんな人生のエピローグを考えてみてはいかがでしょう。
美しく散る花であるために。お手伝いができればうれしいです。
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