(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2023/09/10

ただいま人口増加中 PERT2

賃貸アパート・マンションの状況をみていると、世の情勢をよく反映したものだと思います。
以前は学生さんで満室だったアパートも、今は生活保護受給の高齢者が大半を占めるようになりました。
少子化の影響も顕著です。
賃貸物件の増加は競争を招き、厳しい経営環境に置かれる物件も少なくありません。そこへ来て、外国人労働者の爆発的といってもいい増加です。

外国人労働者数は過去最高に

岸田首相は今年7月、人口減少を踏まえて「外国人と共生する社会を考えていかなければならない」と語りました。
厚生労働省発表によれば、令和4年10月末現在の外国人労働者数は約182万人。過去最高を更新したとのことですが、首相発言からも「外国人受け入れ」はさらに加速するとみて良いでしょう。
不動産管理会社にとって看過できない発言といえます。


福岡市統計白書より筆者作成

外国人との共生、その現実

最大の課題は「生活習慣の違い」や「衛生感覚」です。
賃貸住宅では、まずゴミ置き場が荒れます。

他社から管理を引き継いだ物件の例です。
お隣に外国人入居者が多く住むアパートが建っているのですが、そこの住人がこちらのゴミ置き場に指定日、指定袋もお構いなしにゴミを出すのです。
生ゴミもそのままで不衛生極まりません。

当該外国人アパートの住人が出したゴミである証拠物を見つけては、管理会社に報告をして本人が住む部屋の玄関前に差し戻す、さらにゴミ出し日以外はとにかく施錠する等々。
散々苦労して約半年で正常に戻しました。
昨今に限ればの話、残念ながら「マナーが悪い」「ルールを守らない」のは概ね外国にルーツのある方々です。


福岡市統計白書より筆者作成

管理会社の姿勢と外国人

もちろん、すべての外国人を指してのことではありません。
コンビニで接する外国人スタッフなど、商品を並べているかと思うとレジにかけ寄っては流ちょうな日本語と笑顔を返してくれます。
また日本の若い人達がやりたがらない仕事に取り組み、きびきびと真面目に働く姿に感銘を受ける日本人はむしろ多いです。

元々、福岡市東区は外国人が多いエリアです。
なかでも箱崎は30年以上前から九州大学留学生を多く受け入れてきたような街です。
私たち大洋不動産も、また大半の同業他社も、日本語学校や外国人を雇用する法人と様々な協力関係を築き、お互い工夫し合い、トラブルにならないようにご入居頂いているのが現状です。

つまり問題の多くは管理会社の姿勢が起因ではないかとも考えられ、言い換えれば私たち不動産管理会社にとって「外国人との共生」とは、目の前に起きている現実と向き合うことに他ならないのです。

外国人比率の高まりと不動産市場への影響

国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省の施設等機関)が今年4月に公表した推計によれば、外国人人口の割合は2035年には1割を超え、2070年には16.8%にまで上昇すると見込まれるとしています。
特に若年層では、少子化で日本人の人口規模が小さくなるため、全体に先んじて外国人割合が上昇するとされています。
不動産市場、なかでも賃貸物件への影響がないと言えるでしょうか。

 
国立社会保障・人口問題研究所 令和5年推計報告書より抜粋(2022年8月刊行)

そのため、管理会社の目が行き届かない物件がじわじわと増えてしまうようなら問題です。
30年~50年後と長期的に見れば、敬遠されるようなエリアにある賃貸物件の賃料は抑制され利回りが低下、地価への影響も避けられなくなるからで

未来永劫地域に貢献する賃貸物件

「外国人との共生」とはどういう未来を指し示すものなのか。
おや?と、外国人の増加に気がついて寄稿したのは2018年のことでした。(2018年6月コラム「ただ今人口増加中」)
私たちの地元である箱崎は、筥崎宮の門前町として千年以上の長い歴史と伝統ある町です。
管理会社としてウォッチし続けて大いに学び、そしてオーナー様の不動産が未来永劫地域に貢献する賃貸物件でありますように、適正な管理に務めることが使命と心得ます。

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