小峰 裕子

(株)大洋不動産

相続マインズ福岡

小峰 裕子

平成元年より不動産業に従事。不動産におけるすべての判断はオーナーご家族の幸せや将来設計に多大な影響を及ぼすことを実感する。1999年にCFP®資格取得、2000年にNPO法人相続アドバイザー協議会養成講座1期生として研修を受け、相続に強い不動産の専門家として不動産管理運営の相談業務を中心に、セミナー講師や不動産相続のサポート業務を行っている。
大洋不動産常務取締役・相続マインズ福岡代表
CFP®(1級ファイナンシャルプラン技能士)
CPM®(米国公認不動産経営管理士)

この執筆者の過去のコラム一覧

2019/07/10

改正相続法施行のタイムスケジュール

約1年前のことです。民法の相続に関する規定(相続法)改正案が国会の審議を経て成立しました。
施行は段階的に行われるため、話題先行で混乱しそうです。
今回は主な改正のタイムスケジュールについて、簡単なご説明と共に確認してまいりましょう。

2019年1月13日~遺言書についての改正

1【自筆証書遺言について】
全文を自分で自書する遺言が、自筆証書遺言です。預貯金通帳や不動産も全て自書、つまり手書きとなるとちょっと大変ですよね。
改正により財産目録についてはパソコンなどの作成でも良いことになりました。江口弁護士による詳しい解説はこちら。
https://taiyo-f.jp/column/archives/1458

2019年7月1日~遺産分けについての改正

1【配偶者への感謝の気持ちを表明しやすくなる】
たとえば、親からマイホーム資金など援助を受けた場合(生前贈与)、援助を受けた分は「特別受益」として相続税の計算の時に加算(持ち戻し)しなければなりません。
親からすればせっかく贈与したのに意味がありません。
そこで贈与する際に親が「持ち戻さなくて良いよ」とはっきり意思表示をしておけば「持ち戻しの免除」が認められ、特別受益として取り扱わなくてもよいとされています。
これは改正前から認められているのですが、今回の改正は夫婦間の贈与について。

詳しくは江口弁護士の今月コラムをお読み頂くとして、たとえば亡き夫が妻に生前2000万円の自宅をプレゼントしていたとしましょう。
遺された預貯金は2,000万円。相続人は妻と長男とすれば、改正前なら2,000万円分が持ち戻されて4,000万円、それを2分の1ずつ分けますが、妻はすでに2000万円分もらっているため、預貯金はもらえないことになります。

これが、改正後は持ち戻し免除の意思表示がなくても、預貯金を長男と1,000万円ずつ相続することが出来るようになりました。
自宅の2,000万円分は相続財産から切り離して考えることが出来るようになったんですね。
ちなみに生前に夫が行った自宅のプレゼントは「贈与税の配偶者控除」を使えば贈与税ゼロです。

2【預貯金の払戻しがしやすくなる】
遺産分けの話し合いが済むまでの間、相続人であれば単独で金融機関に払戻しを受けることが出来るようになりました。
葬儀費用や税金、借入れなど急を要する支払いがあるときは助かりますね。
払戻しの最高限度額は150万円などの上限があります。

3【遺留分への配慮が必要になる】
遺留分(いりゅうぶん)とは、一定範囲の相続人に認められている法律で最低限保証された相続分です。
今回の改正では、遺留分相当を不動産や自社株など遺産そのものではなく、金銭請求することができるようになりました。
今後は現金や生命保険金で準備しておくなど、遺留分に対する配慮が必要になりそうです。江口弁護士による詳しい解説はこちら。
https://taiyo-f.jp/column/archives/1567

4【権利主張のための手続きが必要になる】
法定相続分を超えて相続する場合、不動産なら登記など権利を主張するための対抗要件が必要になりました。
これからは先に登記した方が勝ちとなりますので、注意しましょう。

 

5【当たり前ではない相続人以外の人の貢献】
例えば息子さんのお嫁さんなど、相続人でない人が義理の父母の療養看護に務めるなど貢献した場合、一定要件を満たせば「特別寄与料」という相続人に対する金銭請求が出来るようになりました。
あらかじめ何らかの報いを考えて差し上げてはいかがでしょうか。

2020年4月1日~配偶者の権利についての改正

1【配偶者短期居住権】
夫婦の一方が亡くなったとき、その配偶者が引き続き無償で最短6ヶ月間は自宅に住み続けられる権利が新設されます。

2【配偶者居住権】
例えば亡きご主人名義の自宅を奥さまが相続すると、その価額は一般的に預貯金より高い評価となります。
法定相続分の関係でお子さんとの調整が必要となり、現預金など他の財産の相続ができず、生活費を十分に受け取れないケースがありました。
それが配偶者居住権の新設によって所有権より低い価額で居住権を確保できるようになるため、他の財産の取得を増やすことができそうです。鹿田税理士による詳しい解説はこちら。
https://taiyo-f.jp/column/archives/1458

2020年7月10日~自筆証書遺言の保管について

自筆証書遺言を法務局が保管する制度がスタートします。
これにより家族が遺言書の有無を簡単に確認できるようになります。

民法は「私法の女王」とも言われるほど、私たちの生活に密着した法律です。
相続だけでなく、その他の改正にも不動産オーナーに大きな影響を及ぼす改正が多く含まれているため、引き続き関心を持ってしあわせ倍増コラムをお読み頂ければ幸いです。

参考文献:公益財団法人不動産流通推進センター「不動産関連 法令改正のポイント」

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