【まごころ通信】 第39 話 もうひとつの工夫 by小峰裕子

「工夫をこらす」「工夫次第」などと、日常的に使われる「工夫」という言葉。実は、禅語から来た言葉だということを知りました。禅語における工夫の意味は、「一心に修行に励むこと」だそうです。

座禅が「静の工夫」なら、作務は「動の工夫」とされているそうです。ということは、修行というものはじっと座っているだけでは、達成できないものなんですね。お寺の屋内外を清めることは、修行としての「動の工夫」になるのです。福井県の永平寺というお寺で、隅々まで磨き込まれ廊下や塵ひとつ落ちていない階段を歩きながら、とても静謐な気持ちになったことを思い出します。

わたし達の仕事で「静の工夫」はというと、それは「学び」だと思います。「宅地建物取引士」は国家資格ですが、他にも「不動産コンサルティングマスター」や「サーティファイド・プロパティー・マネージャー(CPM)」といった認定資格でありながら、高度な知識を学ぶ場もあります。ただ、資格があるから仕事が出来るわけではありません。「論より証拠」ともいいます。知識だけで仕事をしている人の話しより、実務体験が豊富な人の話のほうが、聴いていて身が入るのはいうまでもありません。察するにそれは車の両輪のようなもので、実務という「動の工夫」が伴わなければ、私たちの成長はないのでしょう。

さて、皆さんは「静の工夫」「動の工夫」のバランスは取れていますか?考えるばかりでは前に進みません。全力で動くことも工夫です。永平寺ではないですが、静と動の調和が取れると、気持ちがピンと張って清々しいと思いますが、どうでしょう。 季節は春です。一心に学び、そして行動を起こしましょう。応援しています。