【まごころ通信】 第15話 敵国降伏 by小峰裕子

当社がある箱崎には、秋のお祭り「放生会」で有名な筥崎八幡宮があります。大分の宇佐神宮、京都の石清水八幡宮とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられています。地元の神様ですから、皆さんも参拝するときは箱崎の土地建物を取り扱わせて頂く事への感謝と御礼を心がけてもらえたらと思います。

ところで筥崎宮といえば、目を引くのが楼門に掲げられた額の「敵國降伏」の金色の4文字です。蒙古襲来(元寇)の時、神風が吹いて打ち勝ったことから、筥崎宮は勝負の神様として有名です。ソフトバンクホークスの選手たちも毎年必勝祈願に訪れる際は「敵國降伏」を見上げているわけです。勇ましいなあと思ってました。

ところがある時、重大な思い違いをしていることを知ったのです。「敵國降伏」の意味は「力で相手を打ち負かす」ことではなく、「優れた徳をもって相手が自ずから恭順する」ことを意味するのだそうです。驚きました。ものごとを治めるということは、勝ち負けではないと教えてくれているのです。

損得の「得」ではなく、道徳の「徳」です。人が見ていなくても褒められなくても一所懸命な人はわかりますし、打算のない人に接すると、この人は大切にしたいと思います。皆さんもできればそうありたいですよね。たとえばお客様の利益につながることを一番に考えれば皆さんと当社の徳につながり、自分や当社の利益を一番に考えると、徳は一瞬で消えますよ。相手を大切に思うことこそ、相手からも大切にして頂けるつまり徳のある生き方とは裏表のない生き方ではないかと考えています。