【まごころ通信】第73話 おもちと稲の「花言葉」by小峰裕子

「おもち何個にする?」。年神様の拠り所である鏡餅。鏡割りの日は、当社ではぜんざいに入れて皆さんと頂くのが恒例行事です。たくあんの小鉢を添えて、小豆が苦手な人はきなこ餅です。  

農水省のHPによれば、平たく丸いおもちを重ねた鏡餅は三種の神器である円鏡を模したものなのだそうです。さすが農水省、日本の食文化に詳しいですね。おもちについての特集もあります。

見ると『稲には「稲魂(いなだま)」「穀霊(こくれい)」が宿り、人々の生命力を強める霊力があると信じてきました。その霊力は、おもちにするとさらに強まると考えられていたのです』とあります。さらに奈良期に編纂された「豊後国風土記」の紹介がなされていたので、調べてみました。『12代景行天皇の命により、その地を治めていた菟名手(うなて)が「仲津郡に白鳥が飛んで来て集まった。すると鳥は「餅」に変わり、今度は芋草に変わった」と天皇に報告し、取れた芋を献上します。喜んだ天皇は「天の瑞物、土の豊草なり」と、この地を豊国と名付けた』と記されています。後の「豊前」「豊後」ですね。また、こんな話も記載されています。『ある日の明け方、北から白鳥が飛んできて「餅」になった。おごりたかぶった人々がその「餅」を的にして矢で射ると、餅はたちまち白鳥になって南へ飛び去り、豊かだった土地はすぐに荒れ果ててしまった』という話です。おもちが鳥になったり、鳥がおもちになったりと微笑ましくもありますが、おもちは本当に霊的な食べ物と考えられていたことがわかります。

ちなみに稲の花言葉は「神聖」です。  
松の内の間は神様の魂が宿るとされる鏡餅、皆で分け合って食べることで運気や力を分けてもらい、今年1年の無病息災を祈りましょう。願いを込めて、いただきます!