【まごころ通信】 第19話  知りたいわけ by小峰裕子

「相続税がどのくらいかかるのか知りたい」。このような問い合わせはよく受けます。簡単な答えで安心される方もいますし、税理士のご紹介まで必要な方もいます。ただ、大切なことは「このお客様はどうして相続税について知りたいのか」ということです。

相続税を納税するのは相続人の子供であるにも関わらず当人から相談を受けることはまれで、ほとんどが親からの相談です。つまり真意は「子供に大変な思いをさせたくない」から相談するのです。質問に答える知識は勉強していても、果たして成果は出せていますか。

人の心の根っこを知ろうとせずに仕事を進めることは、とても危険なことだと思います。たとえば皆さんが仕事の進め方でいちいち指導されて「嫌だな」という感情が生まれます。「嫌とか考えるな」と私が言うと怖い人ですが、「なぜ自分は嫌と考えたのか」という気持ちとは真剣に向き合ってみましょう。なぜなら常に考えが行動を生み、結果につながっているからです。人はそれぞれ考え方に癖があります。結果をコントロールすることは出来ませんが、自分の癖に気がつくと結果も変わってくると思っているのです。

不動産の仕事で成果を出すために一番必要なのは知識ではなく、人への関心と探究心ではないでしょうか。相続税が納税できてもバラバラになってしまった家族、節税のためによかれと思って建てたアパートが空室だらけ。すべて知識だけで仕事をした結果です。私たちに求められているのは成果であって結果ではありません。なぜそれを知りたいのですか?本当に効果があるのは、お客様の心の中への問いかけです。