【まごころ通信】 第24話 損得と価値についての考察 by小峰裕子

将棋の駒はそれぞれ動かし方が違うことを知っていますか?「歩」という駒は前にひとますしか進めませんが、「角」は斜めに「飛車」は縦横にどこまでも進めます。つまり性能が違うから、ひとつひとつの駒に価値があるのです。では当社の「価値」とはなんでしょうか。

管理物件の共用部清掃を受託するようになって、10年たちました。元々は多くの不動産管理会社がそうであるように専門業者に外注していました。ただ「エントランスが汚れていますよ」と連絡があれば、即、現地に向かいます。そのうち「自分たちでやらせてもらおう」と考えるに至り、それが功を奏して今では入居者様とのコミュニケーションが大変円滑になり、オーナー様にもご安心頂くなどいいことづくめなのは知っての通りです。

とはいっても、外注先の仕事を減らしたことは知っていて下さい。不動産の管理には様々なメンテナンス業社の協力なくして成り立ちません。つまりお互い様の関係は継続して仕事をお願いしてこそです。何でも自分たちでやってしまおう、とは考えて欲しくありません。入居者様とオーナー様と、取引先の業者さんに利益がもたらされてこそ、当社の存在価値はあるのです。自分たちだけが利益を得ればいいという「損得」だけで物事を考えていると、やがて周りから価値のない会社と見られ、遠ざけられるようになってしまいます。

仲介を頼まれたら「できるだけ高く売れるように知恵を出す」「いい方に入居して頂く」、管理を頼まれたら「安心して頂けるように気を配る」、相談事があれば「的確に応じられるように学び続ける」。これが当社の仕事であり価値です。性能が違うことはやらないのです。