【まごころ通信】 第25話 会社の姿と本質 by小峰裕子

今月は今の社長の父親、創業の父のことから話します。元々輸入車販売の営業職でしたが、5人の子供を抱え母親も大学の学生食堂で働く毎日。決意した父親は農家をまわり、「使っていない部屋を貸しませんか」と説いて回ったといいます。「賃貸仲介」という業態すらはっきり存在しない頃の話です。

昔気質で気が短いところもあったそうですが、世話好きだったらしく今でも思いがけない人から声をかけられます。年を取ってからは穏やかでいつもにこにこ、車の運転はギアをずっとセカンドにしっぱなしだったので、スピードは出ないのに音だけはすごかったことを覚えています。経営は現在の社長に引き継がれましたが、5人兄姉の末っ子です。なぜ末っ子が社長なのか、それには深い訳があります。なかなか難しいのですが、あえて表現すれば経理全般を預かってお金の苦労をしたからだと思います。

法人化を経て今の姿になりましたが、持てるお金をすべてはき出しても足りずどん底からの出発でした。ただ会社の本質にその時気付いたのです。「本業を貫く」「当たり前のことをする」「目先にとらわれない」。かみ砕いて言うと「当たり前のことがおろそかになればたちまち信用を失う」けど、「こつこつ努力していれば誰かが見ていて」「いつ何時も利に走らなかった」から大やけどせず今があります。両親、兄姉、取引先、オーナー様や仲介で出会った多くのお客さまが教えてくれたことです。皆さんに幸せがたくさん訪れますように。