【まごころ通信】 第58話 「宅急便です」「は~い」 by小峰裕子

この秋、皆さんは宅配ボックスの取り付けがない管理物件オーナー様に「設備として置いてはどうか」というご提案を始めました。宅配便の取扱個数はすでに42億個を超え(国土交通省発表)30年前の4倍以上です。

と同時に、昼間誰も家にいない世帯がどれだけ増えたことでしょう。共働きや単身世帯の急増に伴う再配達の増加は、宅配クライシスと言われるまでの社会問題になっているのはご存じの通りですね。

宅配システムは世界に誇る日本のサービスと言われて久しいですが、頼んだ荷物を受け取るためには必ず誰かが待っていなければなりません。「宅急便です」「は~い」。このやり取りが可能なのは、配送スタッフと受取人が時間と場所を「共有」しているからこそ。それが今テクノロジーの進化によって必ずしも必要ではない場面が増えつつあることを、私たちは経験済みです。たとえば電話でのメッセージは時間の共有を強制しますが、LINEにそれはありません。それでもメッセージはスマホに残っていて、繰り返し見たり聴いたりも出来ます。このように人と人とのコミュニケーションにおいて「時間」や「場所」を共有するという絶対性が急速に薄れている一方で、「荷物を受け取る」というコミュニケーションだけが、このままのはずはないでしょう。

世界中で今、時間に縛られないサービスが続々誕生しているという脅威を知るべきです。この先、宅配ボックスは社会的インフラとして整備されることでしょうが、自宅マンションのエントランスにあるに越したことはありません。人気とその必要性共に上昇し続ける宅配ボックス。ご提案は必然、競合物件に後れを取るわけにはいかないのです。