【まごころ通信】 第61話 聖徳太子 by小峰裕子

さあ、新たな年を祝い運気が上がる?話をしましょう。今、1万円札の肖像は福沢諭吉ですが、昭和世代が親しんだといえばやはり聖徳太子です。 聖徳太子は1400年前の飛鳥時代、19歳で推古天皇の摂政となって国政改革に挑み、今に繋がる日本と日本人の礎を築いた偉人です。その肖像がお札に描かれたのは最多の7回、確か5,000円札も聖徳太子だった時代があったように記憶しています。 また聖徳太子と言えばこれ、「和(やわらぎ)をもって貴し(たっとうし)となす」。十七条憲法第一条です。これには続きがあり、現代語訳を紹介します。「人はグループをつくりたがり、悟りきった人格者は少ない。それだから、君主や父親のいうことに従わなかったり、近隣の人たちともうまくいかない。しかし上の者も下の者も協調や親睦の気持ちをもって論議するなら、おのずからものごとの道理にかない、どんなことも成就するものだ」。つまり理念とするところは「やわらぎ」だけど現実は厳しい、しかし「礼をわきまえて皆で話し合えば出した答えは道理にかないすべてはうまくいく」と示したのです。これが日本の国造り戦略、十七条憲法第一条の本当の意味です。右向け右、多数に従いなさいと言っているわけではなかったのです。第十条ではこうも言います。「他人が自分と違っていても怒ってはなりません。自分は必ず聖人で相手が必ず愚かだということはなく、共に凡人です。良いとか良くないとか、だれが定めるのでしょうか」とあります。「いろいろな人がいても良いではないか」とも取れ、聖徳太子自身の優しさ、深い洞察を感じます。604年、聖徳太子31歳の時です。 お札に描かれる人物は揃いも揃って 偉業を成し遂げた実在の 人です。身の丈に合っ た暮らしをしていれば、 応援しようと必ず集ま ってきてくれますよ。