【まごころ通信】第71話 家訓は愛の言葉のお守り by小峰裕子

近頃、家訓に興味を持つようになり気になる本を取り寄せてはパラパラ読んでいます。武家や商家に伝わる家訓は、人生訓やビジネスマンの心得として今に語り継がれています。

例えば... 小才は、縁に出合って縁に気づかず。 中才は、縁に気づいて縁を活かさず。 大才は、袖すり合うた縁をも活かす。 徳川将軍家の剣の指南役、「柳生家」の家訓です。いつの世もチャンスをもたらすのは「人」。有名な家訓なので、知ってるよと言う方もいるでしょう。

そもそも家訓とは、代々その家に伝わる教えや戒めです。代々、というところが「躾け」との違いでしょうか。もちろん、お子さんの自由な考え方を尊重してあげたいとは思います。ただ多様な家族観、そして価値観を受け入れざるを得ない現代においてこそ、時を超え家族が一本の線で繋がる家訓の存在に着目してもいいのでは、と考えます。家訓は家族へ注がれる愛の言葉のお守りであり、紆余曲折ある人生の中で「大事にするべき」との教えが詰まっています。祖父母、父母、子どもと3代続けば100年、さらにお孫さんの代までも。幸せを願う家訓は、家族代々に伝わるトレーニングプログラムと思うと楽しくなります。

女優の菅野美穂さんの実家には、「仕事と健康と貯金は無くなってからでないとありがたみがわからない」との家訓が掲げられていたそうです。素敵な笑顔は感謝の心がけの賜なのでしょう。家訓は必ずいるというものでもありませんが、自分を見つめる軸のひとつになるとは思います。堅苦しく考えず、掲げてみてはいかがでしょうか