【まごころ通信】 第3話 「以徳報徳」by小峰裕子

去年の宅地建物取引主任者資格試験は、かつて私たちと一緒に働いてくれたK君が見事合格を果たしました。主任者証を見せに訪問してくれたK君はとてもうれしそうで、こちらまで晴れがましい気持ちになりました。

「なぜ勉強しなくてはならないの?」みなさんも学生だった頃に、一度くらい考えたことがあると思います。「自分のために」というのがその答えです。つまり、私たちは一切「自分のために」なるように行動しています。運動をするのも健康でいたい「自分のために」、働くことも家族を守り子どもを育てる結局は「自分のために」行っています。私は私のために生きている。それはとても素晴らしいことです。

ただ、私たちは自分だけで生きているのではなく、すべて生かされていることに思いを巡らせてみてください。水も空気も、美味しい食べ物や果物も、美しい花が咲くことも、すべて宇宙の生成力によるものです。これを「天徳」というそうです。言い換えれば「天徳」は、私たちがこの世に生を受けて以来ずっと豊かさを与え続けていてくれているということです。「以徳報徳」、徳を以て徳に報いん、というのは孔子の言葉ですが、「恩恵には恩恵を」と解釈されています。気がついていただけたでしょうか。皆さんには、どんな小さな事でも良いから「誰かのために」ひとりひとりが出来る事をして欲しい。人はいろいろな立場や能力、そして財産があります。その自分ができる範囲内で出来ることをすればいいし、直接できなければ、している人を何らかの形で応援してあげられるようになって下さい。

K君は宅地建物取引主任者としてお客様の信頼に応えていくため、これからも勉強を怠ることがあってはなりません。日々働くことも勉強をすることも資格を取ることも「誰かのために」。プロとして信頼を得、「ありがとう。あなたのおかげです。」と言ってもらえるような経験を積み重ねてください。そして社会人として実りある日々を過ごして欲しいと願っています。