「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」。これ、名言ですね。江戸時代後期、平戸藩の藩主で名君と謳われた松浦静山(まつら せいざん)が遺した言葉です。
元プロ野球監督の野村克也氏が引用した言葉としても有名で、要は「負けるべくして負けた」ということです。なぜ負けたのか、失敗から学ぶべきことは多いものです。
相続手続きのお手伝いを始めたばかりの頃です。相手方が無理難題ばかり突きつけているような気がして、前に進まず焦っていた時のこと。つい先輩にぼやくと、笑いながらこう言われました。「小峰さん。小っちゃい小っちゃい!相手の言うこと、素直に聞いてみなさいよ」。「こうあるべき」と自分が考えるように相手も考えてくれると思う、お粗末な感情に囚われていることに気が付かされました。上手くいくときは自分に甘く、上手くいかないときは相手に厳しくしていたんですね。悪縁良縁、生かすも殺すも自分次第。自分の考え方や癖、行動プロセスを知り、足りない点は素直に認め、順調なときも奢らず感謝の気持ちを忘れずにいたいと願いながら、未だ修行が足りていません。
頭では分かっているつもりでも、価値観の違いをすんなり認めることはなかなか難しいことです。同じ釜の飯友である皆さんでさえ千差万別なのに不特定多数のお客様となればなおのこと、相手のせいにしてしまったら自分の成長はありません。
ただ、こればかりは具体的に教えるのが難しいんです。皆さんそれぞれご苦労はあるでしょうが、人間力を磨き共感し合える感性を紡いで頂きたいと願っています。思わぬひらめきに救われる日が、きっと訪れます!