【まごころ通信】第70話   縄文時代 by小峰裕子

遡ること約1万年前、氷河期が終わり気候が温暖化して海面が上昇し、日本列島が形成されました。食料も豊富になり、人々は狩りをしながら集落を作って定住生活を送るようになります。皆さんご存じの縄文時代、日本のあけぼの...ですね。

その後、大陸から人がやって来て稲作が伝わり弥生時代が始まり(600年ぐらい続きます)、その後は古墳時代から飛鳥時代(聖徳太子がいた時代ですね)、まあ色々あって時代は移り、2019年の今に至るわけです。

驚くべきは、この2000年余りの間に遂げた文明の発展と私たちの暮らし方です。ろうそくの灯りが電灯になり、手紙は携帯やSNSという時代ですから、変わったなんてものではありません。ところが一方の縄文時代、遺跡から判断すると7000~8000年は続いていたのだそうです。なぜそんなに長く続いたのか不思議に思っていたところ、ある人が教えてくれました。狩猟採集という暮らしぶりでは、得た食べ物の備蓄ができません。そのため、集落の中で貧富の差が発生しなかったそうです。縄文時代の遺跡からは「人に対する武器が出てこない」のだとも。それが弥生時代になると米や雑穀を備蓄するようになり、身分の差が生まれました。リーダーが現れ階級が制度化され、他の集落と収穫物を巡って争いが起こるようになります。考えてみればその後の歴史も、権力と縄張り争いのようなものです。

「強い者でもなく、頭が良い者でもなく、生き残るのは変化できるものである」。ダーウィンの名
言ですが、7000~8000年もの間、争わず変わらない暮らしを続けてきた縄文人は、激変にどう対応したのでしょうね。日本人のルーツを思います。