【まごころ通信】 第23話 結婚したらセットでついてくるもの by小峰裕子

結婚したらセットでついてくるものといえば何を思いますか。「義務」「責任」「貞節」「自由」「不自由」。思い浮かぶまま書きますが、さらに「未来」というのはどうでしょう。それも「不確実な未来」です。

結婚すると相手と自分の存在とが絡み合い、お互いが影響し合うようになります。影響し合うようになりたいから結婚するのかもしれませんが、都合のいい影響ばかりとはいえません。忘れがちですが、相手は別な人格なのです。

女性の平均初婚年齢は29.4歳と確実に「晩婚化」が進んでいて(厚労省データ)それだけに結婚に対する理想も描きたくなると思います。ただ結婚は「船出」に例えられることがあるように、その先に待つものは不確実です。巻き起こる問題を解決しながら、時に嵐の中を進むしかない航海において、必要になるのは理性ではないかと最近考えるようになりました。

結婚は相手とすることで、理想と結婚するわけではありません。「結婚したら家を建てよう」と二人で目標を立てたとしても、目標と結婚したのではないですよね。結婚で始まる未知なる航海は、お互いの理性によって航路が作られ、そこを流れる愛を感じたり消えてしまったことを知ったりするのだと思います。

既婚率がピークを迎えるのは女性が55歳、男性は73歳だそうです。そのうち結婚(再婚)式に叔母とか親の友達とかでなく、「友人として」再び呼んでもらえる日が来るのかもしれません。ぜひ純愛を貫いて欲しい。その日を楽しみに、こころから祝福いたします。

 

 

【まごころ通信】 第22話 七十二侯 by小峰裕子

社内で作成する月間予定表に、所々「処暑」とか「白露」とか赤い文字の書き込みがありますが、何を意味しているか知っていますか?天気予報などで聞いたことがあるかもしれませんが、二十四節気(にじゅうしせっき)と言って、季節を表すために作られたものなのです。

1年を二分すると「冬至・夏至」、さらに二分して「春分・秋分」、そこに「立春・立夏・立秋・立冬」を入れると八節になり、それぞれ一節を15日ずつ三等分すると二十四節気となるわけですね。つまり、私たち日本人の季節は春夏秋冬の四季だけではなかったのです。

気候風土に育まれた感性なのでしょう。実は、これをさらに5日おきにまで細分化した七十二侯(しちじゅうにこう)というものが存在しているのです。たとえば、「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」これは2月4日頃を指します。5日後の2月9日頃は「黄鴬晛睆(うぐいすなく)」となります。他にも3月10日頃を「桃始笑(ももはじめてわらう)」、4月5日頃は「玄鳥至(つばめきたる)」などなど、とても繊細で視覚的ですよね。自然の足音を敏感に感じ取ったり、一瞬を追いかけたりしながら生活をしていたのでしょう。七十二候に見て取れる日本人の感性は誇ってもいいかなあと思いますがいかがですか。

千年以上の昔から、草花、そして動物や虫たちの動きはそれほど変わっていません。変わってしまったのは、今を生きる私たちの感性かもしれません。感じる心を養うということ、日々の暮らしの中で怠ってしまいがちです。「○○の秋」。皆さんそれぞれの「秋」が実り多き秋になりますように、五感を研ぎ澄まして過ごして参りましょう。

 

 

【まごころ通信】 第21話 母の娘、父の娘 by小峰裕子

「毒母」「毒親」。皆さん、聞いたことありますか?自分勝手な価値観を押しつける「母親」のことを言うそうで、女性誌などで取り上げられることも多くなりました。

母親の何気ない言動が娘を呪縛し続けるという、とんでもないネガティブな関係。父親と息子はどうでしょう。嵐の櫻井翔君が厳格な父に苦しんだとか、偉大な父を乗り越えた息子とか、その確執は認知されているし美談のように語られたりしますね。一方で母親を受容できない自分に悩む女性は多く存在する割に注目されなかったのは、母性の範疇において否定されやすいからかもしれません。

ただ家族という人間関係では、母の娘であると同時に父の娘でもあるわけです。両親の関係は元々男女の仲、同性間である母娘の関係が一筋縄でいかないのは、そこに異性間である父娘関係が複雑に絡まるからではないでしょうか。同姓の親との確執の裏に異性の親あり。夫婦関係と父の自分に対する言動は、父の娘という立場とは無縁でないと思います。(小峰説)

家族間を含め、人間関係において悩ましく思う関係はうまくやることをあきらめて明るい光のある方を向いたらいいと思います。そのうち自分と同じように生身の人間であることを受け入れるようになるのだと思います。皆さんは父親、そして

母親との人間関係はどんな風でしたか?聞いてみたい気もします。

いずれにしても両親から愛されてきた分、愛の多い人生を生きて参りましょうね。ご飯を食べさせてもらって。教育を受けさせてもらって。大きくしてもらって。それだけでもう十分なのですから。

 

 

 

 

【まごころ通信】 第20話 花の名前を教えてくれた人 by小峰裕子

元々覚えがいい方ではなく、これまで出会えたすべての人を覚えているわけではありません。ご縁の深さにもよるのでしょうが、私にはそういうこととは無関係に忘れることができない人がいます。それは「花の名前を教えてくれた人」です。  子どもの頃の話です。夏休み、友だちとお稽古事の帰り道だったか「あの白い花はムクゲ、一日でしぼんでしまうよ」 ブロック塀を乗り越えて黄色い花をいっぱい咲かせた庭木を指さして「キンシバイは禁止??」、玄関先で紫の花を眺めていると「キキョウはね、秋の七草って知ってる?」。毎年その花を見るたびに幼かった友だちの横顔が場面と共に思い浮かぶから不思議です。もう何十年も昔のことなので、何十回も思い出していることになります。

「別れる男には花の名前をひとつ教えておきなさい。花は毎年必ず咲きますから」。川端康成の小説「雪国」のあまりにも有名な一文を知ったのはずっと後のことでした。毎年その女性を思い出す男性は、よほどマメなのだろうと感心したものでした。叙情的な印象を受けますが、女性の秘めた烈しさが込められているみたいで、花の名前とノーベル賞受賞作家は相当手強いものですね。

歩いていると結構花をつけた草木を目にします。だんだん季節の移ろいに敏感になるのか、今を生きている感じがとてもいとおしく、可愛く見えるのでした。名前を知っていると、特にそう感じます。

花が嫌いな女性は少ないですから、男性はもっとプレゼントするといいと思います。何百円の小さな花束でいいのです。「最近忙しそうにしているから」とか「秋っぽかったから」とか言いながら、コスパの良さが実感できますよ。花の名前はお任せします。

 

 

【まごころ通信】 第19話  知りたいわけ by小峰裕子

「相続税がどのくらいかかるのか知りたい」。このような問い合わせはよく受けます。簡単な答えで安心される方もいますし、税理士のご紹介まで必要な方もいます。ただ、大切なことは「このお客様はどうして相続税について知りたいのか」ということです。

相続税を納税するのは相続人の子供であるにも関わらず当人から相談を受けることはまれで、ほとんどが親からの相談です。つまり真意は「子供に大変な思いをさせたくない」から相談するのです。質問に答える知識は勉強していても、果たして成果は出せていますか。

人の心の根っこを知ろうとせずに仕事を進めることは、とても危険なことだと思います。たとえば皆さんが仕事の進め方でいちいち指導されて「嫌だな」という感情が生まれます。「嫌とか考えるな」と私が言うと怖い人ですが、「なぜ自分は嫌と考えたのか」という気持ちとは真剣に向き合ってみましょう。なぜなら常に考えが行動を生み、結果につながっているからです。人はそれぞれ考え方に癖があります。結果をコントロールすることは出来ませんが、自分の癖に気がつくと結果も変わってくると思っているのです。

不動産の仕事で成果を出すために一番必要なのは知識ではなく、人への関心と探究心ではないでしょうか。相続税が納税できてもバラバラになってしまった家族、節税のためによかれと思って建てたアパートが空室だらけ。すべて知識だけで仕事をした結果です。私たちに求められているのは成果であって結果ではありません。なぜそれを知りたいのですか?本当に効果があるのは、お客様の心の中への問いかけです。

 

【まごころ通信】 第18話 あなたもこわ~い「ものメタボ」 by小峰裕子

先日、紹介先の税理士事務所を訪問したのですが、そこはただの事務所ではありませんでした。なんと、ドアを開けると「ウエルカムボード」が置かれておしゃれな歓迎モード。天井からつるされた照明器具を凝視しつつ渡されたメニューから飲み物を選んだ後、つい、そのこだわり抜かれた仕事環境を観察してしまいました。

物がありすぎるわけでもなく、かといって無機質な感じもなく、人と物の距離感が程よく居心地にとても気を遣っている感じです。それでも意固地になって、雑然と投げ込まれたファイルの棚や書類の山がないか探しましたが見当たりません。そう率直に言うと、税理士先生はあっけらかんとこう言いました。「最優先の仕事は整理整頓なんですよ」

「整理」「整頓」とはよく使われる言葉ですが、この二つは似通っているようで実は違いがあります。「整理」は必要と不必要とを分けること、「整頓」は必要か不必要かは考えず整えることです。「整理→整頓」の順番は理にかなってますね。快適な環境はモチベーションを高めてくれる場にもなります。つまり整理整頓とは、破壊を伴う創造なのかもしれませんね。ただモノにはパワーがあると思っていますから、むやみに捨てたりもできないわけです。その人の居場所というのは、ある意味パーソナリティまで推し量ることができるのかもしれません。

空間をコントロールすること自体は緊急性がなく先送りしがちですし、結果ありのままの自分がもっとも出やすい場所と言ってもいいでしょう。だからこそ整理整頓を最優先にするという言葉は新鮮でした。いつか使うかも…なんて甘やかし続けるとあなたもこわ~い「ものメタボ」。生活習慣病です。皆さんの机周り、キャビネット、パソコンのデスクトップなどはどういう状態ですか?整理整頓上手になりましょう(なりたい...)

当社は月に一度大掃除をしますが、ものメタボを見つけたら教えてあげて下さい。 ちなみに「片付け」は「決めたところに戻す」ことです。実にシステマチックな作業なのです。

 

【まごころ通信】 第17話  会議はコミュニケーション  by小峰裕子

毎日の朝礼終礼に始まり、月例報告会議、月次営業会議等々会議と名の付く場を設けては皆で集合します。売り上げや進行状況の報告だけでなく、意見や情報の交換をし合うわけですが、実際機能しているかどうかについては疑問を持っています。

確かに人並みに正常に行われています。ただほんとうの「会議」とは、意見や情報の交換にとどまっていては到達できない類いのものなんですね。「言わない方がいいんじゃないの」とか「言ったら不利になるかも」とか。上っ面でその場しのぎの意見では問題の本質がつかめませんし、上司の意見を命令としか受け止められない、そういう状況に陥ってないか危機感があるわけです。

意見交換をドッジボールに例えてみましょう。当たったら確かに痛い!だけどしっかり受け止めることも出来ます。そして投げ返すという真剣な遊びでありコミュニケーションのひとつ、会議も同じです。いろいろなボールが飛んできます。本当は受け止めるのが怖い。それは本音を言われるのが怖いのと同じなのですが、それでは気づきは得られませんし問題が明確にならなければ前進できませんよね。

会議の場は「対話」ではなく、まして「討論」の場でもありません。意見のドッジボール、コミュニケーショだと考えています。目的のない人はいることが辛い、苦痛な場所になるでしょう。つまり皆さんひとり一人のメンバーシップが育まれて初めて会議は本物になると言えます。メンバーシップとは各自の役割を自覚して果たすことです。会議を終えてわくわく感が残るような「最良の方策」を皆さんと選んでいきたいのです。

 

 

 

 

【まごころ通信】 第16話 自由にさせる by小峰裕子

仕事上の関係はもちろん、子育てや夫婦において、また恋人や友達同士でも「こうあって欲しい」と願うあまり、小言が増えたりぎくしゃくする事、ありませんか。相手に良くなって欲しいと思っているだけなのですが、どうも自分の発言は歓迎されてないらしいと感じる時は悲しいですよね。果てしなく大きな壁を見上げているような気持ちになります。

あるとき車で移動中ラジオを聴いていると、コメンテーターとして活躍している女性が出ていました。息子さんが二人、もう成人しているそうですが子育ては最初相当がんばっていたそうです。塾への送迎と付き添いでヘトヘト、教育ママですね。ところが当の息子さんは塾に行っても心ここにあらず。それどころか意地でも勉強しない構えだったと言います。

勉強しろと言えば言うほど成績は下がります。ついに怒り爆発。息子さんの手が滑って料理をこぼしてしまった時、尋常でないくらい怒りが収まらなかったと言うのです。よほど、がんばってきたのでしょう。自分を犠牲にするなど感情を溜めて込むと、それが臨界点に達した時に我慢できなくなります。皆、同じだと思います。

意地悪ですが「こうあって欲しい」は、見方次第では相手を思い通りにしたいという気持ちです。思い通りにならない不自由に苦しむのは自分ですよね。勇気を出して少し引いてみる、そんな距離感が必要なのかもしれません。相手を自由にすれば、それだけ自分も自由になれます。ちなみに息子さん達に一切何も言わなくしたら、高校3年で勝手に勉強しだして一流大学に現役合格したそうです!

(詳しくは「九州のママに贈る男の子を成功に導くトコ流「ほったらかし育児」術 トコ著)

 

 

【まごころ通信】 第15話 敵国降伏 by小峰裕子

当社がある箱崎には、秋のお祭り「放生会」で有名な筥崎八幡宮があります。大分の宇佐神宮、京都の石清水八幡宮とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられています。地元の神様ですから、皆さんも参拝するときは箱崎の土地建物を取り扱わせて頂く事への感謝と御礼を心がけてもらえたらと思います。

ところで筥崎宮といえば、目を引くのが楼門に掲げられた額の「敵國降伏」の金色の4文字です。蒙古襲来(元寇)の時、神風が吹いて打ち勝ったことから、筥崎宮は勝負の神様として有名です。ソフトバンクホークスの選手たちも毎年必勝祈願に訪れる際は「敵國降伏」を見上げているわけです。勇ましいなあと思ってました。

ところがある時、重大な思い違いをしていることを知ったのです。「敵國降伏」の意味は「力で相手を打ち負かす」ことではなく、「優れた徳をもって相手が自ずから恭順する」ことを意味するのだそうです。驚きました。ものごとを治めるということは、勝ち負けではないと教えてくれているのです。

損得の「得」ではなく、道徳の「徳」です。人が見ていなくても褒められなくても一所懸命な人はわかりますし、打算のない人に接すると、この人は大切にしたいと思います。皆さんもできればそうありたいですよね。たとえばお客様の利益につながることを一番に考えれば皆さんと当社の徳につながり、自分や当社の利益を一番に考えると、徳は一瞬で消えますよ。相手を大切に思うことこそ、相手からも大切にして頂けるつまり徳のある生き方とは裏表のない生き方ではないかと考えています。

 

【まごころ通信】 第14話 グローバル・スタンダード by小峰裕子

グローバル・スタンダードとは、金融を初め技術や会計基準などの分野で国際的な一定の標準・規則を示す用語です。「共同体としての物差し」と捉えればわかりやすいですね。では、不動産という共同体・枠組みの中で、私たちはどのような立ち位置にいるのかを検証してみたいと思います。

賃貸物件をお預かりすると、実に様々な仕事が飛び込んできます。物件もそれぞれ、入居者もそれぞれですから、一つの物差しで物事を判断することはできません。新人さんが苦労するところですね。結果、満室経営が持続し、オーナー様の満足に繋がることで評価を頂くことが出来るわけです。いわば主観的な判断で行う、アナログ的管理運営手法です。

それに対してグローバル・スタンダードの物差しは1本です。客観的でデジタル、誰にでも分かりやすい手法だと言えます。たとえば「利回り」です。不動産からどれくらい収益が上がっているかを利回りで示せたら、他の不動産との比較が出来ます。(ROEといいます)金融商品との比較だって出来ます。つまり「資産」のひとつとしての不動産という考え方まで、出来るようになります。

私たちの仕事は、直接グローバル・スタンダードに関与していない、むしろ真逆とも言えるローカル・スタンダードの真骨頂です。しかしローカル・スタンダードの価値を備えてこそ、グローバル・スタンダードのマーケットに入っていけることに気がついて下さい。両方を備えたハイブリッド不動産こそオーナー様の資産拡大への道であり、私たちに管理を任せて頂いている理由と考えて下さい。お預かりする物件の質的向上へと、常に目標を持つことが必要なのです。