【まごころ通信】 第34話 新米 by小峰裕子

実りの秋です。この時期になると農家に嫁いだ友人から、精米したての新米が届きます。ピカピカに炊きあがった新米をほおばる幸せと言ったら、間違いなく日本人で良かったと思う瞬間です。

日本人はいつ頃からお米を食べていたのでしょうか。農林水産省のサイトを調べてみました。すると、最初お米を食べていたのは身分が高い人などごく一部の人で、庶民は雑穀や芋類を主食にしていたことがわかりました。やがて江戸時代になって新田開発が進み、お米の耕作面積が増え、ようやく庶民もお米を口にできるようになったということです。

稲作は手間と人手が必要な上、収穫は天候や自然災害などに大きく左右されます。稲作が日本に伝わった弥生時代、私たちの祖先は、自然というものに神の存在を見いだそうとしました。お米は聖なる食べ物として神話や信仰に結びつき、祭祀として儀礼が執り行われるようになりました。その一方、江戸時代になるとお米を中心とする経済システムが確立します。「加賀百万石」と言われるように、大名や村の大きさまでが米の生産高によって表示されるようになります。ちなみに1石とは10斗、1斗は10升、1升は10合ですので、1石は1000合といえば何となくわかるような?ちなみに1石は人ひとり1年間に食べるお米の平均だそうで、1石のお米が収穫できる面積は1反(300坪)です。勉強になりますね。

ちなみに以前、11月23日まで日本人は新米を口にしなかったそうです。なぜならその日は、天皇陛下と共に今年の実りに感謝する「新嘗祭」という日本の収穫祭だったからです。今は「勤労感謝の日」という祝日になっていますが、これはGHQのこじつけです。

 

 

【まごころ通信】 第33話 言葉じゃなくて by小峰裕子

私たちは人と会話するとき、自然と言葉を選びながら話をします。ただ、言葉は自分を表現する手段ですがすべてではありません。「嬉しいです」「大丈夫です」「心配です」。心中のメッセージは言葉でなくとも相手には伝わるものです。

「目は口ほどにものを言う」ということわざがあります。視線、目つきは相手から観察されやすくなっているし、言葉より雄弁だったりします。どこを見ているのかで関心の強弱が伝わりますし、自信の有無においても案外見破られています。

友人(独身)が、お付き合いしている男性の事を話してくれました。ほろ酔い気分で食事をしていた時、「ある異変」に気付いたそうです。席はカウンターでした。以前の彼は上半身を彼女に向け、まっすぐ見つめて語りかけていたそうです。それが最近では顔だけ向けるか、彼女が話をしていても「時々別なところを見ている」という話。それこそ彼女と顔を合わせて大笑いしましたが、彼が意図的にそのような態度を取っているのなら人の心理を手玉に取る相当なワルに違いないでしょう。幸いなことにお付き合いは続いているようですが、視線は隠すことなく相手にメッセージを投げかける、正直なものだといえます。

相手のとの距離もそうです。取り方によって、どれだけ心を許しているか推し量ることができます。他にも身振り手振りや着ている服、何気なく選んだ持ち物からも、人は多くのメッセージを受け取ります。意識しておきたいのは言葉では表現しない、またはできない部分の大切さです。

言葉じゃなくて、人の心理というものは神秘的なくらい言葉以外の部分に大きく影響されていると思っています。

 

 

【まごころ通信】 第32話 素敵な男性 by小峰裕子

素敵な女性に続き、男性についても持論を述べます。何をBABAあが、と言われそうですが、半世紀以上女性達の見立てを観察してきた小峰説です。寛大に受け止めて下さい。

①清潔であること

普通に清潔な男性です。清潔感には香りも含みます。マナー的には無臭だそうですが、好みもあると思います。これは男女ともに言えることかもしれませんね。

②明るい印象であること

根クラ、おとなしいのがダメだということではありません。また「がはは」的元気でもありません。たとえば陽だまりのような暖かみ、穏やかなオーラをまといつつ、明るい方向に顔を向けている男性です。ただ、暗い方に向かっていく男性が好きな女性がいることも確かです。

③頭が良いこと

学歴ではありません。難しいですが短く言うと「ユーモア」と「先読み勘」があるということでしょうか。あのタモリに始まり、テレビ番組の司会者にお笑い芸人が多いのも、頭が良いからなのだと思っています。

④常識があること

若い時にどのような仕事に就いていようと、常識ある男性は必ず良い仕事をするようになります。非常識な男性とは、自分の尺度で生きる世間知らずの子供です。常識破り(型破り)とは全く別なのです。

⑤仕事に絶対の自信を持っていない

「用心深さ」という意味で、少し不安を抱いているくらいがちょうど良いと思います。「好事魔多し」、不安の量は多すぎず少なすぎずといったところが、女性から見ると魅力なのです。

【まごころ通信】 第31話 素敵な女性 by小峰裕子

「博多は美人が多い」と評判です。九州一円から女性が集まってくるだけに、地政学的にそうなのかもしれません。そんな美人だらけの街の、きらりと輝く素敵な女性との出会いについてお話しします。

①使った後、きれいを心掛ける女性。

立派なトイレが増えました。とても快適ですが、女性用は時折どうかと思うようなことがあります。ずいぶん前ですが、順番待ちをしていたとき姿が良い女性と入れ替わって中に入ると、トイレットペーパーが三角に折られていました。思いやりを感じてうれしくなりました。

②ゴミを拾う女性

雨の日のスーパーでの事。傘のしずくが店内に落ちないよう、例の傘袋が置いてあったのですが、横のゴミ箱には傘袋があふれ散乱していました。わたしの後に続いて入店した女性が、すーっとそれらを拾ってゴミ箱に入れ、溢れる傘袋を押さえました。わずか数秒、穏やかでスマートな女性でした。

③半歩、先回りをしてくれている女性

研修会などイベントを計画すると、当日までの段取りに意外なくらい手間取ります。忙しい講師に変わり、窓口になってくれた女性はまだ20代でした。講師のプロフィール、レジュメ提出や資料の郵送まで常に早め早めです。わたしは自分がすべきことに集中できました。イベントに限らず、仕事を成功に導いてくれるのはこういう女性達の存在です。

素敵だなと思う女性を観察すると、「人間軸」というたぶん努力による産物を備えているように思えます。もちろん持論(小峰説)です。いつの時代も、日本は素敵な女性達がそっと支えているのだと勝手に思っていますが、皆さんいかがですか。

 

【まごころ通信】 第30話 土地の神様のこと by小峰裕子

不動産の仕事をしていると、時々神様にご挨拶をする機会をいただくことがあります。地鎮祭もそのひとつです。「じちんさい」または「とこしづめのまつり」と読みます。

マンションやマイホームなど建物を建てる際に行われる儀式で、着工する前にご神職様をお呼びして祈祷してもらうのですが、施主さんや建築関係者が参列して工事の無事や安全を祈り、家の繁栄を祈願する儀式です。

なぜ地鎮祭を行うのか、理由はふたつあると思います。ひとつは「土地は神様のもので、神様から土地を借りるための儀式」という意味です。私たち人間は勝手に所有権だとか何だとか言って取引をしますが、神様にとっては身勝手ともいえる振る舞いなのです。なので「この土地を私は使わせていただきます。これからよろしくお願いします」と神様へのご報告と許しを得る必要があるのです。

もうひとつは「土地を浄め(清め)悪いものを封じ込める」と言う意味です。私たちは古来、都合が悪くなるととりあえず土に「埋める」ということをして来ました。つまり「土地」を掘り起こせば、悪いもの穢れたものがたくさん出てくると古代の人は考えたわけです。

地鎮祭は建築の場となるこの土地の霊を鎮めて穢れを浄め祓い、「禍」が永遠に及びませんようにという祈願です。他にも古井戸を埋めるときの「水神上祭」など、不動産業者のみならず建設業者などはとても大切にしています。それは

自然に対する作法だと思うのです。自然の理に逆らうと矛盾が生じます。私たちは「土地の神さま」に喜んで頂けるような仕事をしましょう。それにはまず「お天道さまが見てるよ」と心がけることです。

 

【まごころ通信】 第29話 無料相談の限界 by小峰裕子

最近は「ご相談無料」「無料セミナー開催」など、情報やサービスを無料で提供するところが増えました。大半は体験お試しを頂くことで多くの人たちにお客さまになって頂きたいという狙いがあるので、次の有料サービスへの誘導が行われています。

主催側には当然、目的があります。利用する側もそこは心得るべきで、個人情報の提供をしたことによるその後の営業はもちろん、無料で提供されるサービスには限界があることを知る必要もあると思います。

ある時のこと、セミナーにひとりの男性が参加されていました。60代後半で、質問されたり積極的な方でしたがその後の無料個別相談で怒って帰ってしまわれたのです。相談内容は「専門書を手引きに契約書を作ったが、法的に問題がないか、後々トラブルにならないか確認して欲しい」というものでした。応じられるものではありません。理由は「相談ではなく判断を求められたから」です。

専門性が高くても、知識に基づいた答えなら応じたでしょう。つまり無料でできる範囲は一般的な答えが限界だと言うことです。ひとつの契約書を作成するためには、個別的な要因をよく調べないと始めることはできないのです。セミナーの主催者は士業の先生方やFPなど手弁当で集まった10名足らず。「有料で先生に見てもらいましょう」と話しても「相談は無料と書いてある」の一点張り、翌日またご本人から電話があり、ご理解頂くのに半日費やしました。

皆さんの業務においても、そこは機転を働かせて下さい。よかれと思う対応が無責任になることもあるのです。士業の先生方とのいわゆる「業際問題」にも充分注意が必要です。

 

 

 

【まごころ通信】 第28話 山が招いている by小峰裕子

今年春のレクレーションは山登りでした。山登りと言っても目的の三日月山は272mと低山ですから、大人も子供も一緒におしゃべりしながら楽しかったですね。

三日月山をはじめ、福岡市近郊の山々は頂上で博多湾が望める事も多く眺望が楽しめます。山道を歩きながら土の匂いを懐かしみ、木漏れ日に和み、鳥の鳴き声に耳を澄ませる、そして流れる雲の早さに自分は今、自然に抱かれていることの幸せを実感します。本当に楽しいです。

「どうせ下るのに何で登るのか」。そう言う人もいます。おそらく山以外に自然を感じる環境にいるか、まったく興味が無いかどちらかだろうと思います。だけどその人から、どうして山に登るのかと聞かれても断言ができません。「そこに山があるから」との答えは有名ですが、取材攻めの場でやけくそになって言った言葉との説もあります。実際に急登で息が上がってくると「もうダメだ、自分は何をしているんだ」と頭の中は半分以上後悔が占めていたりします。それでも「山が招いている」とでも言うのか、下山しながら今度はどこに登ろうかなんて、山を歩く、登るという行為にときめいてしまうのです。

福岡は街の中心部から海も山も近い類い希な都市です。関東だとサーフィンをしようとしたら千葉とか湘南とか、茨城だそうです。他県まで行くなんて、福岡では考えられないことですよね。海でもいい、山でもいい、時間調整の努力と辛抱の汗とほんの少しの幸運に恵まれたら、ぽかぽか陽気に体も心もリフレッシュできますよ。私たちは磁石のように自然が魅了してやまない街に暮らしているのです。

 

【まごころ通信】 第27話 30秒PR by小峰裕子

毎朝、時計代わりのテレビは地元のテレビ局の番組です。理由は天気予報が地元なだけに詳しくて予報士が驚くほどキッパリと言い切る点、それと30秒PRのコーナーが視たいからです。

それは30秒でイベント情報をまとめてご来場お待ちしてますと呼びかける、とても短いコーナーです。関心を持った人が行きたいと思うような工夫がそれぞれあって感心します。プロっぽく手慣れたPRもありますが、下手でも特色が際立っていると印象も強く残りますし好感が持てます。お堅い口調だと、イベント自体がそういう雰囲気なんだと察します。

さて、皆さんには朝礼で当社の経営理念を唱和してもらってます。3か条で大体20秒くらいです。会社設立の時に考えたのですが、実はすらすらと書けたわけではありません。経営理念は会社の信条であり社員の皆さんの哲学となる指標です。当社の成り立ちやお客様のこと、社員の皆さんにどういう未来を示せば良いのか、言葉にするため三日三晩考え抜きました。伝えたいことは山ほどあっても欲張れば長くなります。短くしなければならないから難しいのです。皆さん、自分の会社を30秒でPRして下さいと言われたらすぐ答えることができますか。

ご来店下さい!とアピールするには何をどう表現すれば相手に伝わるのでしょう。そもそも他社にはなく当社にあるものって何でしょう。意外ですね。普段から意識していないとまとまらない、表現できないのです。店舗全体、電話応対、接客対応、各書類などお客さまの五感に触れるもの、そして皆さんの心がけていることの検証です。当社が30秒PRに出るとしたら…おもしろいなあと思いながら、いつもテレビは地元のチャンネルです。

 

【まごころ通信】 第26話 日本酒とお燗 by小峰裕子

わたしが若い頃、日本酒というと二日酔いしやすくて舌にベタベタした感じが残る、どちらかというばマイナスのイメージでした。これは戦時中、食糧不足から1本を3本に水増しして造っていた名残で、醸造用のアルコールや甘くするための水飴、化学調味料などを足した「良心的といえない」日本酒が多く出回っていたからでした。

いつの間にか日本酒離れが進み造り酒屋も半減、日本酒文化どん底時代です。それでも本物を知る人々の手により「大吟醸」「吟醸」「純米酒」とまじめに造られた日本酒の伝統は守られ、やがて復活を遂げたのはご存じの通りです。今では若い世代にも地酒を中心にファンが増え、手に入りにくい銘柄もあるようです。

日本酒は温度によって風味が変化する深みのあるお酒です。好みはありますが、米のうま味が強い純米酒は燗付けで、香りが強い大吟醸ならきりっと冷たくして飲むとおいしさが際立ちます。ただ、お酒は一度封を切ったら飲み切らないと味が変わります。それでほとんどのお店は、冷蔵庫で保管しています。お店で「冷や」を頼むと冷えたお酒が出てくることがありますが、「冷や」は常温のことで冷酒ではありません。お酒を暖めて欲しい時「人肌」と言いますが、それは35度前後、「温燗(ぬるかん)」が40度、「熱燗(あつかん)」は50度です。燗付けのしかたは湯煎が一般的ですが、電子レンジも便利なので自宅ではさぼってチンです。少し冷めやすいです。ちなみに、冷酒となると冷たさを感じる15度前後を「花冷え」、5度前後を「雪冷え」というそうです。

皆さんが好んで飲むお酒は何でしょうか。たまには日本酒で海の幸山の幸を肴にゆっくり盃を傾けるのもいいものですね。わたしも季節を感じたい時や大切な人達とゆっくり過ごしたいときは、日本酒を楽しんでいます。

 

 

 

 

【まごころ通信】 第25話 会社の姿と本質 by小峰裕子

今月は今の社長の父親、創業の父のことから話します。元々輸入車販売の営業職でしたが、5人の子供を抱え母親も大学の学生食堂で働く毎日。決意した父親は農家をまわり、「使っていない部屋を貸しませんか」と説いて回ったといいます。「賃貸仲介」という業態すらはっきり存在しない頃の話です。

昔気質で気が短いところもあったそうですが、世話好きだったらしく今でも思いがけない人から声をかけられます。年を取ってからは穏やかでいつもにこにこ、車の運転はギアをずっとセカンドにしっぱなしだったので、スピードは出ないのに音だけはすごかったことを覚えています。経営は現在の社長に引き継がれましたが、5人兄姉の末っ子です。なぜ末っ子が社長なのか、それには深い訳があります。なかなか難しいのですが、あえて表現すれば経理全般を預かってお金の苦労をしたからだと思います。

法人化を経て今の姿になりましたが、持てるお金をすべてはき出しても足りずどん底からの出発でした。ただ会社の本質にその時気付いたのです。「本業を貫く」「当たり前のことをする」「目先にとらわれない」。かみ砕いて言うと「当たり前のことがおろそかになればたちまち信用を失う」けど、「こつこつ努力していれば誰かが見ていて」「いつ何時も利に走らなかった」から大やけどせず今があります。両親、兄姉、取引先、オーナー様や仲介で出会った多くのお客さまが教えてくれたことです。皆さんに幸せがたくさん訪れますように。